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11話 ページ13

あ「どうしたんですか?」



銀「いや、なんでもねェ。悪かったな、騒いじまって。」



あ「そう、ですか…ならいいんですけど。」



また客に呼ばれてAが離れていったのを見送ってから沖田君を見る。



沖「あんた、それだけ取り乱すぐれェなんだから認めちまった方がいいんじゃねェですかィ?」



銀「………っ。」



認める?そんなの、もうとっくのとうに認めている。自分の気持ちに気付いてしまっている。それこそ逃げることもできないほど。だが俺の気持ちは、あいつの重荷にしかならねェことを知っているから、一生伝える気は無い。



銀「いやいや、違うから。好きとかじゃなくてほらあれだよ、あれ。親の気持ち?的な?ウチの大事な娘をお前みたいなドS野郎におめおめと渡せるわけねーじゃん?」



沖「なるほどねェ…そうきやすか。ま、俺にとっちゃァあんたがAのことをどう思ってようがどうでもいいんですが。知ってやすか?俺ァ否定されればされるほど燃える性格だっつーのを。」



銀「やれるもんならやってみろや。俺の目が黒いうちはうちのAに指一本触れさせねぇからな?」



沖「……おぅ、A。」



あ「はい?何でしょ……っ!?」



銀「オィィィィィ!!お前なにやってんの!?」



Aを呼んだかと思うとあれよあれよという間に沖田がAの唇を奪った。そんな状況をいつまでも許すはずもなく、沖田を引っぺがす。



あ「なっ……なん……だった、の?」



頭パニック状態のAは、その場にへたり込んで呆けている。
ザワザワと騒がしい店内。沖田の胸倉を掴む俺。ニヤニヤと挑発的に笑う沖田。その状態はまさにカオス。



沖「指一本どころか、キスしちまいましたが?」



銀「テんメェェ!!」



その言葉に怒りが爆発し、沖田に殴りかかる。



沖「おっと。そう簡単に殴らせませんぜ?じゃあ俺ァこの辺で失礼しまさァ。ごちそーさん。」



そんな俺の拳を飄々と交わし何事もなかったかのように奴は店を後にした。



銀「クソッ…何がしてーんだよ、あいつは!」



奴が、Aのことを本気で好きなわけではないことは明白だ。ということは、完全に俺の気持ちを知ってての見せしめなんだろう。いつものようにからかって遊んでいるだけだ。その挑発にまんまと乗ってしまった俺は馬鹿じゃねーか。



銀「……A。今日は、帰ェるぞ。」



今もなお放心しているAの腕を引いて、家路に着いた。

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作者名:葉生姜 | 作成日時:2017年10月17日 21時

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