【d!】続落ちた先には…【異能パロ】

照準を合わせる ページ32

男は私に拳銃を向けられた今も余裕そうであった。

「うっ…」

男が力任せにオプロイテさんを地面に落とす。駆け寄りたい気持ちでいっぱいであったが今は目の前の男に集中すべきだ。私は照準を男に合わせる。

「この、男は危険よ…！早くっ逃げなさいッ！」

オプロイテさんが私に対して叫ぶ。ガタガタと震える私はきっと騎士の彼女にとっては弱く、護るべき対象なのだろう。

「弱い癖に挑んでくるとは。まあ、暇つぶしにはなるな。お前の能力…貰い受ける。"クトグァ"」

男の体に炎が纏う。突然のことに驚き、男の顔を見てば先程まで白と深緑だったはずの瞳が、今度は深緑と水色へと変化していた。

「あの男は…私達の異能をコピーする…！私のクトグァも…ッ！貴女も能力者なら早く逃げなさい！！」

オプロイテさんの声と同時に私へ男の放つ火炎玉が降ってくる。しかしそれは私の体を前にするとスゥと消えた。

「オプロイテさん、私は異能が効かないんです」
「ほう。少しはやるようだな。」

男に対して心の中で異能を使うな、と念じる。すると男のオッドアイだったはずの瞳が赤色に変化する。異能を使えなくなったことによる焦りはなく、口角をあげる男に私は汗が止まらない。

ダンッ、ダンッｰｰｰｰｰ
重たい引き金を引く。

「そんなんじゃ当たらない。」
「っ、ぐっﾊｧ、」

男は軽々しく銃弾を避けると私との距離を詰め、渾身の力で蹴ってきた。受け身を取り損ねた私は地面に転がる。カラカラ、と拳銃も離れてしまい思わず声が出た。

「さらばだ、」

男が私に剣を振り下ろす。

キィンッｰｰｰｰｰ

「くそっ！！」

オプロイテさんが血を流しながらなんとか剣を受けて踏ん張っていた。

「次は、ないっ！"クトグァ"！！」

オプロイテさんへ向けて勝って、と願う。彼女の炎は先程男が使っていた倍に膨れて男を襲った。

「ぐはっ…なぜ、だ。体力はなかったはず。」

男は炎に包まれた剣を受ける。それでもなお、立ち続けるが相当なダメージを受けたようだ。

オプロイテさんの異能がうまく刺さったことに私は安堵する。しかし目の前で、カラン、と剣が床に落ちる音がした。そのままドサリと身体が地面に落ちる。倒れたのはｰｰｰｰｰオプロイテさんだった。

「はぁ…オプロイテ相手にこのザマとは」

男とオプロイテさんの後ろから現れた人物に私は目を見開く。

「な、なんで…」
「ここで倒れられると困るんよ」
「チーノ…？」

そこには拳銃を持ったチーノが立っていた。

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