【d!】続落ちた先には…【異能パロ】

正しい道 ページ30

医務室を出た私がまず向かった先はトントンさんの所だ。第二機動部隊長が倒れた今、護衛部隊が前線の穴埋めに入るためトンつく隊中心となり基地本部の護衛にあたる。
トントンさんに振り分けられた仕事を無駄なく一つ一つこなしていく。

「焦らんでええ。」

トントンさんは私の心情を悟っているようだ。机に置かれた珈琲が彼の優しさを示している。

「焦らないって…また皆さんが怪我をするかもしれないのに？」
「俺らは覚悟の上やしな。それにあいつらがそんな怪我するような玉やないのお前も分かっとるやろ」
「…でも」
「弱気になるな。そんな無能、この軍には必要ない。」

トントンさんは厳しかった。優しくするだけでなく、私の背中を叩いて正しい道に引っ張ろうとする。

「…はぁ。シャオロンにあんだけ啖呵切ったんならやってみせろや。俺たちと戦うんやろ？そう言ったのはお前自身やんけ」
「なんで、それを…」
「すまんが聞いとったんや。俺やグルさん達も遅れて見舞いに行ってな。お前の話を聞いてみんな気合い入れ直しとったで」
「は、恥ずかしいです」
「胸を張れ。お前ならやれる。あいつならそう言うはずやで」

シャオロンがどや顔で背中を叩いてくる姿が思い浮かぶ。くすりと笑いが出てしまった。

「トントンさん声真似上手ですね」
「元気出たなら無駄口叩かんと仕事せえ」
「はい！」

今度こそ気持ちを切り替えて、私は仕事に取り掛かった。
私の行う仕事は基本的に事務作業だ。戦争に向けての燃料や武器、人員配置など軍の運営全てを担っている。同じ時間を使ってもトントンさんは私の二倍の書類を捌いている。私の分からないことは指導しながら仕事をするその姿は、出来る上司そのものだ。

「トントンさん、幹部用の資料できました」
「グルさんには俺から渡す。ロボロと鬱は館内におるからお前から渡してほしい。そんで前線組はもう居らんから後で渡しに行くようオプロイテに伝えてもらえるか？」
「分かりました。今からロボロさん達のところに行ってきてもいいですか？」
「おん。オプロイテに伝えるのも忘れんようにな」
「はい！」

今回の戦争の部隊配置が書かれた重要な書類だ。本当は幹部以外に任せたくないであろうトントンさんだが、信頼している部下もいるそうでその人に資料を渡すように言われた。オプロイテさんはオスマンさんの部下である。実際に会うのは初めてであるが、外交使節団に行けば会えるとのことなので向かうことにした。

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