お茶会は終わった後に ページ19
オスマンさんは静かに私の話を傾聴する。
「なぁるほどな」
「…オスマンさんは何か知っているんですか？」
「知っとると言えば知っとるし、知らんと言えば知らんな」
「なんですか、それ」
「大先生がどうやってAを連れてきたかは分からん。でもな、何故Aを連れてきたかは少しは分かる気がするんよな」
「教えてください！」
気付けば思っていたことが口に出ていた。仮に大先生が私をここへ連れてきたとして、何故私が必要だったのだろう。その理由が分からないのだ。
「だって、私…本当に特に秀でていることはない普通の人間なんですよ」
「それやろ。俺らにとってはその"普通"が心底羨ましいものなんやで」
「普通が…、ですか」
「おん。俺らが素でいれるように、そう願ったちゃうかな。」
「素でって皆さん別に私がいなくても変わってなくないですか？」
「いや、変わったで」
オスマンさんの視線が真っ直ぐ私へ向く。
「Aと関わった奴は皆変わった。それは良いことか悪いことか、俺にはまだ判断しきらんけど。」
彼は私の言葉を待たずに続ける。
「シャオロンとコネシマが気にかけるのも、ひとらんが畑の手伝いを頼むのも、ショッピ君が異能を開花させたのも、全部君や。君のおかげ」
「わたし…？」
「大先生が天使って呼ぶ理由もきっとそれやで。あいつも君に救われたいんや。」
「救われたい…ですか」
「…ある人がな、Aは自分の光だって言っとった。何でか聞いたら、異能をそのまま普通と捉えてくれたんやって。まるで当たり前のように…驚きこそしたけど否定せんで一人の人間として見てくれたって喜んどった」
「光だなんて大袈裟な」
「ううん、これは大袈裟やないんよ。この世界に生まれた俺らにとって普通って絶対に手に入れられんもんやったから。」
カラン、と角砂糖が落ちる音がしてオスマンさんは満足気に笑って紅茶を飲み干す。
「大先生だけやなくて異能を持つ奴は大体何か抱えとる。特にこの軍には面倒や奴らが集まっとるからなぁ。……だからこそ退屈せんのやけど」
「それ、前にひとらんさんも言ってました」
「ほんま？ひとらんと俺は仲良しやからな〜思考も似てきたんかな」
真っ直ぐ向いていた視線はいつのまにか外れていて先程まであった圧はなくなっていた。めう〜とご機嫌そうに語尾を伸ばす彼に実は二重人格ではないかと疑ってしまうほどの変わりぶりだ。
「迷える子羊さんの答えはでた？」
私はその言葉にこくりと頷いた。
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鳩山(プロフ) - えみさん» コメントありがとうございます。懸命に生きる2人と彼らの話を素敵と言っていただき本当に光栄です…！最後までご愛読ありがとうございました！ (2021年2月20日 16時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
えみ - rbr推しですがshaちゃんとくっついて欲しいと思ってしまう程の作者様の文才に引き込まれました…！とても素敵な話でした！ (2021年2月19日 17時) (レス) id: 1597543406 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ブンブンさん» ブンブンさん！以前もコメントして下さいましたよね？本当ありがとうございます…！良かったら番外編でもよろしくお願いします…！最高に嬉しい言葉を本当にありがとうございました！ (2019年11月11日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ブンブン(プロフ) - 完結おめでとうございます！貴方の作品に出会えて本当に良かったです！ (2019年11月10日 23時) (レス) id: 4a511d68cf (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - kogarashi343gooさん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいお言葉ばかりで私からも感謝させてください！すごく励みになります…！今後は番外編然り、別作品然り、更新頑張っていくつもりですので今後ともよろしくお願い致します！ (2019年11月10日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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