公約なんて上辺ばかり ページ17
ゾラ・ラフィルモン。オプロイテ・ジュスティス。この二人は四大公爵家の令嬢だ。そして、A・ラ・ストラスブールの代わりに嫁に出された二人でもある。
「ストラスブールほどの大国の姫君に婚約話を持ってくるのにろくなのはおらん。どいつもこいつも権力と金しか見とらん馬鹿ばっかや。そこに、ゾラもオプロイテも巻き込まれたんや」
「ど、ういうこと、ですの…」
「姫君よりも格下と結婚が決まり相手の馬鹿は逆上した。もちろん表向きは良いようにするけど水面下では冷遇。日頃のストレスをぶつけるように暴力だって振るう。それもこれも全部、あんたのせいや。オプロイテが何で行きたくもない場所に嫁がないかんかった？あんたが行っておけば彼女が被害者になることなんてなかった。……ゾラが死ぬこともなかったんや」
ドキリと胸に何かが刺さる。
「A様はまだ恋をしたことがないから分からないのだわ」
ある日のお茶会で彼女は一冊の小説を持ってトルマリンを輝かせていた。
「なんですの。知ったような口を聞いて」
「うふふ。怒らせてしまいまして？」
「怒ってないですわ！」
「A様は本当にお可愛いですわね。いつか殿下に恋焦がれた姿が楽しみですわ」
昔のAは誰よりも我儘で、それこそ本当に傲慢で可愛くない子供だった。そんなAのお茶会に唯一付き合ってくれたのがゾラ・ラフィルモンだった。柔らかい癖っ毛の大地の色を揺らして彼女は目を細めて笑うのが癖だった。
彼女が他国の王族に嫁ぐと決まった時、人知れずAは自室で涙を流すぐらいには気に入っていたのだ。
「……ゾラは、亡くなったのですか」
「…あぁ。嫁いだ先で惨めに亡くなったわ」
見送りをした際、彼女は満面の笑みを浮かべて幸せになってくると言っていた。その願いは叶わなかったことに気付いて、鼻の奥がつーんと熱くなっていく。それでもAは唇を噛み締めて涙は溢さない。
「『美しいものを、素直に美しいと言える世界を作りたい。公平なんて言葉がありながら実際不公平なこの世で、素直に美しいものを美しいと言える人物は果たして何人でしょうか？』───あんたはそう言ったけど実際はどうや？お前の存在がこの世の不公平さを作り上げとるやないか…っ…！
本質を、忘れるな…！
……偽善なんていらん。そんなもの俺が、壊してやる」
悲鳴に似た叫びが王室に響き渡った。
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夏目宮(プロフ) - 失礼します。ストラスブールのことなのですが、皇室があるのなら王国ではなく「皇国」ではないでしょうか？ (2022年3月28日 19時) (
レス) @page13 id: c1f3a10c7f (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 森安里さん» コメントありがとうございます…！二度目の人生で見えてくる視野も広がり彼女自身が成長するところを実感していただき嬉しいです。素敵なコメント並びに応援のお言葉をありがとうございました…！のんびり更新ではありますが今後ともよろしくお願いします！ (2020年12月8日 16時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
森安里(プロフ) - 王女様のどんどん成長していく姿に目が離せません。恋愛や友情が詰まった素敵な作品だと思います。これからも頑張ってください。応援しています! (2020年12月5日 13時) (レス) id: 0d0cef0762 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - がいこうかんさん» 外交官さん…！コメントありがとうございます！文章が美しいなんて最高の褒め言葉をありがとうございます！ゆっくり更新ではありますが今後ともお付き合いしていただければ幸いです！本当にありがとうございました…！ (2020年11月20日 22時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ゼアさん» コメントありがとうございます…！面白いというその一言でやる気が出ます！割と長いお話を一気に読んでくださりありがとうございました…！今後とも完結までよろしくお願いします…！ (2020年11月20日 22時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
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