桃色の後悔 ページ10
「私ね、最後に幸せだった、って思ってほしいの」
戦地の跡…色のない光景を眺めるA。いつもは笑顔の彼女にしては珍しく痛ましい表情を浮かべていた。
「彼らは…幸せだったのかな。
後悔は、してないのかな。」
息を殺して、土を握りしめた彼女の目からは透明な水が流れている。
部下の死に悲しみを浮かばせる彼女。ロボロはそんな光景にもうとっくに慣れてしまっていて、残念やなぁぐらいの気持ちしか浮かばない。それよりも彼女から流れる涙を、もったいないと感じていた。
「なぁ、触ってええ？」
「え？」
聞いたのは自分であったが彼女の答えは聞かぬまま俺は指先で涙を舐めてるように拭っていく。
最初は顎を、次に頬を、最後は目尻を。
「え…ちょっと…ロボロ…えっ？くすぐったいよ…？」
男に良いようにされても自分のことに鈍感な彼女はロボロの肩に触れるだけで、抵抗といった抵抗をしない。
女として欠陥してるんじゃないかと言うほどに、自身への危機感を持っていない彼女を見て、ロボロは無性に苛立ちが募る。
よく考えれば彼女が泣いている理由は、自分ではない部下に向かって。なんだか面白くなくなってロボロは彼女の顎を上向きにした。
「あんなぁ、お前は大事な人を抱えすぎなんよ。…Aにとって"特別"は俺らだけで充分やろ？」
彼女の額に自分の額を当てる。
本当は自分だけで独り占めにしてしまいたい。しかしそれは彼らが許さないのだ。ならば、彼女の心をほんの少し…ちょっとだけでいいから自分で埋めてしまいたかった。
触れ合う額から彼女の温度が伝わってくる。温かい彼女に、あぁ生きてて良かったとロボロは悦に入るのだ。
「……ロボロは、幸せなの？」
彼女は小さく震えていた。その震えを止めるようにAを抱きしめる。
「俺は……今、…幸せやで」
これは本心。
決して届くはずのない彼女への恋心を隠して。全てを受け入れてくれる優しいAへ甘えるのだ。
後悔先に立たずという言葉があるが、あの時、確かに俺にもチャンスはあったのだ。
だからこそ、隠すことなく全力で、彼女に想いを伝えるべきであった。
そうすれば、もしかして、心の一部なんて生易しいものではなく…彼女の全てを手に入れられたかもしれないのに。
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鳩山(プロフ) - 詩音さん» コメントありがとうございます…！返事がとても遅くなって申し訳ないです…！ハッピーエンドにしたくって最後書くのを頑張りましたのでそう言っていただけて本当に嬉しいです！ありがとうございました！ (2020年6月7日 23時) (
レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後までどうなるかわからなくてドキドキしました。ハッピーエンドが素敵すぎます…読ませていただきありがとうございます…。！これからも応援しています！ (2020年3月10日 9時) (レス) id: e70b445cf3 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - カリンさん» コメントありがとうございます！頑張り屋な夢主をここまで見守ってくださって本当にありがとうございます…！素敵な物語と言って頂き大変幸せです…！これからも新作を投稿していく予定ではありますので今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月1日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
カリン - 完結おめでとうございます！頑張る夢主がどういった結末を迎えるのかドキドキしながら最後まで読まさせていただきました。素敵な物語をありがとうございます！これからも応援しています！ (2020年2月29日 23時) (レス) id: 84d76390cc (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます！自分の書いてて楽しいお話を書かせて頂いてそのようなお言葉をいただけて私は本当に幸せ者です…。今後も新作は出していくつもりですので、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします！ (2020年2月29日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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