【d!】君の顔も見たくない【軍パロ】

夢から醒めた ページ4

朝日が私を起こす。ゆっくりと身体を起こして…欠伸と背伸びを同時にしてベッドから抜け出す。昨日あれだけ泣いたのに瞼は重たくなかった。蛇口を捻り、顔を洗い…タオルで水分をとる。着替えを済ませた所でいつもなら「朝ご飯を食べに行くぞ」とシャオロンが扉を鳴らすのに…。
未練たらたらな自分に嫌気がさした。軍人ならば人の死を乗り越えなければならない。それはこの軍に入って一番に教えてもらったことではないか。

「大丈夫、…大丈夫…。もう、泣かない」

戦争に出る時、私は必ず暗示をかける。それだけで少しだけ自分が強くなった気がするからだ。無理矢理笑顔を作って鏡の自分に笑いかけていると、ドンドンと乱暴に扉が鳴った。朝のこの時間に訪問者なんて珍しい。

「…だれ？」
「誰ってなんやねん！はよ飯食いに行くぞ！！」

扉を開けるとそこには元気いっぱいのシャオロンの姿があった。あまりのことに言葉を失う。

「何やその死人が動いたのを見たような目は」
「は…なんで、シャオロン…？」
「え、ほんまにどうしたん？俺なんか悪いことしたか？」
「生きてる、」
「勝手に殺すな」

ペシリ、と私のおでこを叩いて「怖い夢でも見たんか〜？」と笑っている。彼の手の温度が昨日のものとは違って暖かく思わず彼の手を握りしめる。突然のことに彼も驚いたらしい。

「え、急になんやねん…」
「あったかい…」

彼の体温に安心して涙が出た。あれは悪い夢だった、と私は安心感から泣きながら笑った。情緒不安定な私を見たシャオロンは最初こそ戸惑っていたが、私が泣き止むまで片手を貸したまま、もう一方の手で私の背中を撫で続けてくれた。

朝の食堂につくと朝からゾムとロボロが大食いで張り合っていた。こっちがお腹がいっぱいになりそうな光景にシャオロンと笑い合う。

「お、Aとシャオロンやん！今日もラブラブやな〜」
「せやろ？俺ら想いあっとるからな！」
「シャオロンと…？冗談でしょ。」
「これAの照れ隠しやから」
「違いますから」

デジャヴを感じるやり取りであるがいつもの何気ないやりとりがひどく幸せに感じる。

「何か今日Aやたらとご機嫌やな？」
「だって幸せだからね」
「え、こわ…宗教みたいなこと言いよるやん」
「今日訓練でシャオロンをボコボコに出来るからやろ。ついにシャオロン浮気がバレたか」
「してへんわ！！」

ゾムとロボロ、そしてシャオロンと賑やかな食卓。
いつの間にか私は昨日の夢のことを忘れていた。

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