縁起の悪い冗談 ページ3
縁起の悪い冗談をまだ受け止めきれずに一人で医務室に向かう。シャオロンと一緒に任務に行っていた部下ならきっとそんなことありませんって笑い飛ばしてくれるはずだ。そう信じて、医務室の扉に手をかけた。
医務室にはシャオロンの部下が数名手当てをされた状態で座っていた。私の姿を見るなり、一人の隊員が立ち上がり頭を下げる。そう言えば彼はシャオロンが褒めていた副隊長だったな、と場に合わない思考に陥っていると彼は、いくじなくも泣かんばかりに震えていた。
「…Aさん…っ。すみませんでした…っ」
彼と共に頭を下げる部下達に私は冷たく声を放つ。
「何であなた達が謝るの？」
私が言ってほしい言葉は謝罪なんかではない。
医務室にいる部下達はそんなわたしの言葉に対してもただ、ただ謝罪を繰り返すばかりであった。顔に怒りを隠そうとしない私を見兼ねたしんぺい神が私の手を引く。
「そんなに部下に殺気を放ったらあかんよ……。Aの探し求めてる人はこっちや」
しんぺい神は医務室から出て地下へと私を連れて行く。霊安室と書かれた札を見て私は足を止めた。霊安室の中からは幹部である彼らの声もする。
ここに、いったい誰がいると言うのだ。
霊安室に無理矢理入れられた私は、白い布を被って寝転ぶ男を前に泣いている幹部が目に入った。私は寝転ぶ男まで足を進めて、被せられた布を取る。
「冗談にしては…きついよ。──シャオロン」
そう。そこには傷だらけになったシャオロンがいた。琥珀色の瞳は閉じられてしまっていて今や見えることはない。早く起きて、と彼を揺さぶるが一切起きようとはしなかった。
私は、私は、私は………まだ。何も伝えられていないのに。
「…………なん、で」
「…」
「………なんで……」
「………すまない」
苦しそうに目を伏せるグルッペンが私の呟きに謝罪する。どうして謝るの、とは言葉に出来ず、私はただただ口から漏れる声、目から零れる何かを必死に我慢していた。
しかしそれも時間が経てば耐えきれずに、自然と涙は流れる。ポロポロと重力に従って落ちる、その涙は私の下にいるシャオロンにかかった。きっとお伽話であったなら、涙がかかって王子様は目を覚ますのだろう。でもここには幸せなハッピーエンドなど訪れてはこない。目の前の彼は目を瞑り、体は冷たいままであった。
それを最後に私は泣き崩れ、その場にいた幹部達と共に暗い夜を過ごした。
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白いろきつね。(プロフ) - 今更ながらに読ませていただきました すごい心を持っていかれるお話で涙腺が崩壊しながらも読ませて貰いました ループで心が壊れていく夢主さんを見ていて感情移入しちゃって、本当に心を揺さぶられる最高の作品でした。主様書いて下さり本当にありがとうございました! (2021年8月11日 0時) (
レス) id: 02f1a6e36f (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 菜乃さん» コメントありがとうございます…！死に戻りは私の性癖でして、設定好きと言われて喜んでます。この作品はお気に入りの一つなのでコメント頂けて幸せです。こちらこそありがたいお言葉をたくさんありがとうございました。またどこかでお会いできることを願っております (2020年6月27日 19時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ・ちょこみんとさん» コメントありがとうございます…！流した涙がもったいないですよ（そっとハンカチを差し出す）本当に素敵なお言葉をありがとうのざいます！ちょこみんとさんからの言葉で今後も文字書きとしてやっていこうと思います。ありがとうございました…！ (2020年6月27日 18時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
菜乃(プロフ) - 今更ながら一気に読ませていただきました…！めちゃくちゃ号泣しました…！このお話設定やストーリーも鳩山さんの文字の書き方も全部が好きで勢いでコメントしてしまいました…。素敵な作品をありがとうございました！！ (2020年6月27日 15時) (レス) id: a5b7bd47a4 (このIDを非表示/違反報告)
・ちょこみんと - 全話一気に読まさせて頂きました！涙がボッロボロに出ました…感動します…鳩山さんの作品が大好きです！これからも頑張って下さい！ (2020年6月27日 15時) (レス) id: 87dd4c4135 (このIDを非表示/違反報告)
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