狂気 ページ20
「それって…告白?」
「せやな。言わんで後悔するより言って後悔する方が男らしいやろ?」
「…玉砕するって思ってたの?」
「五分五分やね」
シャオロンは照れ臭そうに頭を掻いている。
私はそんな彼が愛おしくて、
「私も好きだよ。」
と頰を掻きながら返事をした。
私の言葉が耳に届いたらしいシャオロンは、顔をガバリと上げて至近距離にくる。
「ほんまに?」
「うん。本当に」
「ゆめ、みたいや」
「夢落ちなんて笑えないよ」
互いの瞳にお互いの姿がはっきりと映る。
幸せだなぁ、と感じた瞬間背後から強い殺気を感じる。突然のことに私は反応が遅れてしまった。
「っA…!!」
強い力で体が押される。
「…! なに!?」
受け身も取れずに地面を転がる。私が振り返った時にはシャオロンが敵を地面に叩きつけている状況であった。
「…第二機動部隊副隊長」
地に伏せた敵を睨みつける。間違えようもない憎たらしい男。
「あなたは総統室に呼ばれたはずだけど、こんなところでどうしたの?」
「おうおう。うちの幹部に手を出すっちゅーことはお前が裏切り者で間違いないな?」
私は男へ毒針を、シャオロンもまた彼に自身の全体重をかけて身動きを出来ないように拘束していた。
「あーはっはっは!!!」
場に似つかない、笑い声。
それは目の前の男のものであった。
男は窮地に陥っているというのにその顔はひどく高揚していた。顔を真っ赤にしながら、瞬きなどせずに目をかっ開いている。その目は興奮のあまりに瞳孔は拡大していて…血走っていた。
それは、まともな人間が浮かべる表情ではなく、気圧された私は一歩後ろに下がってしまう。
「最期に、俺の役割は果たされる…!!!」
そして男は涎を垂らしながら歯を剥き出しにして、
あまりの眩しさに、目が眩む。
それと同時に聞こえる爆発音と、私の体を吹き飛ばす爆風。そのまま建物に強く体を打ち付けてしまう。
「…っ…!!!」
揺れる視界の中で最後に見えたのは、黒煙。
意識を失う直前に、
「また…失敗した」とどこかから声がした。
それはきっと私の心の声だ。
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白いろきつね。(プロフ) - 今更ながらに読ませていただきました すごい心を持っていかれるお話で涙腺が崩壊しながらも読ませて貰いました ループで心が壊れていく夢主さんを見ていて感情移入しちゃって、本当に心を揺さぶられる最高の作品でした。主様書いて下さり本当にありがとうございました! (2021年8月11日 0時) (レス) id: 02f1a6e36f (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 菜乃さん» コメントありがとうございます…!死に戻りは私の性癖でして、設定好きと言われて喜んでます。この作品はお気に入りの一つなのでコメント頂けて幸せです。こちらこそありがたいお言葉をたくさんありがとうございました。またどこかでお会いできることを願っております (2020年6月27日 19時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ・ちょこみんとさん» コメントありがとうございます…!流した涙がもったいないですよ(そっとハンカチを差し出す)本当に素敵なお言葉をありがとうのざいます!ちょこみんとさんからの言葉で今後も文字書きとしてやっていこうと思います。ありがとうございました…! (2020年6月27日 18時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
菜乃(プロフ) - 今更ながら一気に読ませていただきました…!めちゃくちゃ号泣しました…!このお話設定やストーリーも鳩山さんの文字の書き方も全部が好きで勢いでコメントしてしまいました…。素敵な作品をありがとうございました!! (2020年6月27日 15時) (レス) id: a5b7bd47a4 (このIDを非表示/違反報告)
・ちょこみんと - 全話一気に読まさせて頂きました!涙がボッロボロに出ました…感動します…鳩山さんの作品が大好きです!これからも頑張って下さい! (2020年6月27日 15時) (レス) id: 87dd4c4135 (このIDを非表示/違反報告)
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