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社畜な元彼と遭遇した件について ページ9

「謝らなくていいから」

強がって声が震えるのを隠し、涙を見られないように下を向く。

「でさ…Aが良かったらより戻さない?」
「え…?」
「こんなこと言われて困惑すると思うんだけど、やっぱりAと会ってまた付き合いたいなって思ったからさ」
「えぇ…?」
「ところで何で、泣いてるの」

ひとらんの言葉に顔を向ければ、彼は心配そうにAの頰を拭っていく。

「泣いてないし」
「意地張らなくていいから。俺の前ぐらいではリラックスしてよ」
「何様…」
「こらこら。口が悪いぞ。Aが我慢しちゃうのは知ってるから無理しすぎちゃったんでしょ。…よく頑張ったね。お疲れ」

少しズレたことを言ってAを安心させるのはひとらんだ。頰を撫でる彼の体温。この体温を思い出してしまうと、忘れるのが難しい。

それならいっそのこと思い出さない方が良かった。

「ひとらんはさ、…何で私がいいの?」
「俺を思って笑ってくれるのも泣いてくれるのもAだから」

悩む素振りもせずにひとらんが答えた。

「馬鹿じゃん…」
「じゃあ逆に聞いていい?俺のどこがダメ?」
「…手に入れちゃったら離したくなくなるから」

ビール一杯で酔うはずもない。しかし今はアルコールに任せて甘えてみる。上目遣いでひとらんを見ると、彼は緩まる口を抑えていた。

「俺、めっちゃ愛されてんじゃん…!」
「…連絡こなくなって諦めたんだけどね、」
「うん」
「好きになっちゃった。……いや、好きなの。前からたぶんずっと」
「ねえ、A。」
「なに?」
「今夜は泊まりでもいい?」

Aは化粧落とし買わなきゃな、と人ごとのように思いながらこくりと頷いた。

たまには、華の金曜日も悪くはない。

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作品ジャンル:ラブコメ
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鳩山(プロフ) - 114514さん» コメントありがとうございます…!(そっとハンカチを差し出す)難民さんに刺さるお話があれば幸いです! (2020年7月3日 19時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
114514 - ぐはっ(吐血) (2020年7月1日 21時) (レス) id: 3a17ec7a5b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんコメントありがとうございます…!難民として完結できたことを誇りに思います!今後とも活動は続けていきますのでよろしくお願い致します…! (2020年4月7日 17時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - htrnさんの素敵なお話ありがとうございました……! (2020年4月7日 7時) (レス) id: 742aa07519 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 外ピさん» コメントありがとうございます!htrnは私の最推しでして、自給自足のためにこの作品を作りました。その言葉に私は咽び泣くほど嬉しいです…!ありがとうございました!もう終わりに近づいてはおりますが、今後ともよろしくお願いします! (2020年3月29日 21時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鳩山 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年11月23日 12時

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