おしどり夫婦 ページ30
二人して縁側に座ってお茶を飲む。
心地よい風が吹いて、休憩には持ってこいである。
「Aさぁ、いつになったら俺の名前呼んでくれるわけ？」
「名前呼び恥ずかしいじゃないですか。一振さんから変わっただけで感謝してもらわないと」
「うわ、相変わらず頑なだな」
「うるさいですよ。そんな私を選んだひとらんさんが悪いんです」
「ははは、そうだったね。」
「……でもそういえば何で私を選んだんですか？ひとらんさんなら他にもっといい人いたはずでしょう？」
「だってA、俺から目を離さなかったじゃん」
「目、？」
「うん。"めちゃくちゃ私のこと見るじゃないですか"って言って、じーっと見つめ返してくるんだもん。初対面の人間にあれだけはっきり言える子早々いないよ。だから面白いなって、素直にそう思ったんだよ」
ひとらんさんが笑って私の頭を撫でる。
彼の大きくて硬くなった手の平が、髪の毛を解いていくかのように優しく触れるのでつい目をつぶってしまう。
それを狙ったかのように、唇に柔らかい感触がして、やられた…とすぐに目を開ける。
口角を上げたひとらんさんに「朝から変態ですね」なんてまたもや可愛げのないことを言ってしまった。
「Aって頭撫でられるの好きだよね。なんだか猫みたい。俺はAのそういうところ可愛くて好きだよ」
「はぁ…そうやって何人の女を落としてきたんですか…」
「えーっとね」
「数えんでいい」
「あはは」
呑気な男だ。
朗らかに笑う男をみて脱力する。
少し大きくなったお腹に手を当てて空になったグラスにお茶を注ごうとすると、彼の手が私を止める。
「いいよ。Aは休んでて」
私を気遣うように優しく背中を撫でて、彼は立ち上がる。自分だって朝から動き回って疲れているはずなのに。
本人にはまだ言ってはやらないが、彼の次の呼び名は決まっている。
ひとらんさんの背中を見ながら、私はこの場にいるもう一人に話しかけた。
「パパはとってもいい男でしょ？」と。
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鳩山(プロフ) - 114514さん» コメントありがとうございます…！（そっとハンカチを差し出す）難民さんに刺さるお話があれば幸いです！ (2020年7月3日 19時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
114514 - ぐはっ（吐血） (2020年7月1日 21時) (レス) id: 3a17ec7a5b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんコメントありがとうございます…！難民として完結できたことを誇りに思います！今後とも活動は続けていきますのでよろしくお願い致します…！ (2020年4月7日 17時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - htrnさんの素敵なお話ありがとうございました……！ (2020年4月7日 7時) (レス) id: 742aa07519 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 外ピさん» コメントありがとうございます！htrnは私の最推しでして、自給自足のためにこの作品を作りました。その言葉に私は咽び泣くほど嬉しいです…！ありがとうございました！もう終わりに近づいてはおりますが、今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月29日 21時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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