また来年（現パロ叔父と姪設定） ページ26
私の初恋の人は、10歳も年上だ。それだけでも差があるというのに何より最も憎いのは私と初恋の人は血が繋がっているということ。その人は…私のパパの弟であった。
私の叔父にあたるひとらん兄さんとは年に一度、親戚一同で集まるお正月にしか会えない。毎年、両親に反抗期があっても必ずパパの実家に帰るのは、彼と会えるからだ。その楽しみがなければ今頃アルバイトに勤しんでいる。
私もついにお酒を飲める歳になった。親戚は「Aちゃんの20歳記念に今日は飲むぞ！」と意気込んでいて、私も曖昧に笑っておく。そしてそんな親戚の輪に入って笑っているひとらん兄さんを盗み見る。私が20になると同時に30になったひとらん兄さん。老けるどころか笑った時に目尻に出来るシワが増えて、ますます色っぽくなった。
絶対に彼女出来たな…と妬ましげに彼へ視線を向けているとパチリ、と目が合う。私が目を逸らすよりも先に兄さんが口を開く。
「A、そんな所で一人で飲んでないでこっちにおいでよ」
隣の座布団をポンポン、と優しく叩く姿すらかっこよくて私は素直に従う。今日のために化粧もお洒落も、頑張ったのだ。少しぐらい良いことがあってもいいだろう。
「あんまりビールは好きじゃないでしょ？ほろ酔いあるからこっちにしときな」
「もう…子供扱いしてるでしょ」
「違うって。どうせ最後はたらふく飲ませられるんだから今は優しいのを飲んどけっていう俺の優しさだからな」
そう言って、冷えた缶を私に渡すひとらん兄さん。缶チューハイを受け取る際に手が触れて…それだけでドキドキしっ放しだ。胸のトキメキを抑えるように一気に酒を煽る。
「ひとらん兄さんもついに30歳だね」
「俺もいよいよおっさんだよな」
「でも、まあ…ひとらん兄さんは30歳にしてはイケてる方だと思うけど…？」
「おっ、若い子に褒められて嬉しいね。Aも見違えるほど綺麗になってさ」
ひとらん兄さんの為だよ…！なんて言えたらどれだけ楽か。私は喉を出る寸前でその言葉を飲み込むと「当たり前じゃん」と強がった。
「はは、悪い子になっちゃダメだよ？」
「そんなのならないし」
「Aに何かあったら父さんが悲しむからな」
そうやって悪戯した子供のように笑うひとらん兄さん。その笑顔を見て、ならいっそ私を悪い子にしてくれたらいいのに、なんて思う。
告白するのはまた来年。また、一年後の自分に任せる。だから今だけは、彼の隣で…酔ったフリして寄りかかるぐらい許してほしい。
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鳩山(プロフ) - 114514さん» コメントありがとうございます…！（そっとハンカチを差し出す）難民さんに刺さるお話があれば幸いです！ (2020年7月3日 19時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
114514 - ぐはっ（吐血） (2020年7月1日 21時) (レス) id: 3a17ec7a5b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんコメントありがとうございます…！難民として完結できたことを誇りに思います！今後とも活動は続けていきますのでよろしくお願い致します…！ (2020年4月7日 17時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - htrnさんの素敵なお話ありがとうございました……！ (2020年4月7日 7時) (レス) id: 742aa07519 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 外ピさん» コメントありがとうございます！htrnは私の最推しでして、自給自足のためにこの作品を作りました。その言葉に私は咽び泣くほど嬉しいです…！ありがとうございました！もう終わりに近づいてはおりますが、今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月29日 21時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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