初恋は叶わない ページ23
あの日からAと一緒に登下校をするのはやめた。最初は驚いていたAだが、特に問い詰めることなく時間だけが過ぎていった。
下駄箱で靴を取り出し外にでると外はバケツをひっくり返したみたいな雨であった。
「雨かよ…」
生憎の雨は今の自分の心を表してるようだ。どうしようかと、しばらく悩んだところで雨が止む気配もない。濡れると後々面倒だが仕方ないだろう。走り出そうとしたその時、後ろから名前を呼ばれた。
「ひとらん？」
「A？」
「何か、久しぶりだね」
「…そうだね」
「あのさ、傘忘れたの？」
「残念ながら忘れたよ、Aは？」
「実は私も忘れちゃって」
どこか気まずさがあり、無言が続く。
「「あの」」
どうにか会話を続けようと声を出すとそれは綺麗に彼女のものと重なった。それをきっかけに気まずさはなくなり目を合わせて笑い合う。
「ひとらん」
「ん？」
「なんでもない」
「なんだ、それ」
俺の名前を呼んでくすぐったそうに笑うAに、俺は今なら言えるかもと柔らかい声を出す。
「なぁ、A」
「なーに？」
「好きだよ」
「私も好きだよ」
彼女の顔を見れば、いつもの笑顔を浮かべていた。俺の好きも、彼女にとってはlikeの意味で捉えられているのだろう。
「やっぱり私、ひとらんと一緒に帰りたい」
「そろそろ俺離れしてくれない？」
「えー、でもひとらんも私のこと好きならいいじゃん」
「何か妹みたいだもんなAって」
「子供扱いしないでよ！」
「妹がダメならどんな扱いすればいいの」
「それはもちろん女の子扱い！」
もうしてるっつーの。
笑うAに俺は自身の学ランを脱いで頭にかける。
「じゃあ、お姫様。濡れないように気をつけてくださいね」
「あっ、ちょっ……うわっ！」
顔が濡れないように頭に学ランを置いて彼女の腕を引っ張る。外は大雨であるが走り出した俺にAは驚いて困惑しているようであった。
「ねえ！びしょびしょなんだけど！」
怒っているのにその声は笑っている。
どうせ叶わないのなら少しぐらい困らせてやったって俺は悪くないはずだ。
(好きだよと言っても冗談にしかならない)
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鳩山(プロフ) - 114514さん» コメントありがとうございます…！（そっとハンカチを差し出す）難民さんに刺さるお話があれば幸いです！ (2020年7月3日 19時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
114514 - ぐはっ（吐血） (2020年7月1日 21時) (レス) id: 3a17ec7a5b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんコメントありがとうございます…！難民として完結できたことを誇りに思います！今後とも活動は続けていきますのでよろしくお願い致します…！ (2020年4月7日 17時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - htrnさんの素敵なお話ありがとうございました……！ (2020年4月7日 7時) (レス) id: 742aa07519 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 外ピさん» コメントありがとうございます！htrnは私の最推しでして、自給自足のためにこの作品を作りました。その言葉に私は咽び泣くほど嬉しいです…！ありがとうございました！もう終わりに近づいてはおりますが、今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月29日 21時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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