日本男児と大和撫子？ ページ3
ひとらんは、食堂にいた。
……それも何故かたった一人で。
二徹を終えたひとらんが自室に戻ろうとしたところを部下であるAに捕まったのだ。寝かせてくれ…と弱々しく呟いた彼の言葉を無視して彼女が連れてきた先は食堂。
睡魔と戦いながら一人で待っていれば、食堂の調理室からガチャガチャと何やら音がする。
「できた！たいちょー、今お持ちしますね！」
食堂で待つひとらんに懐かしい匂いが香ってきた。
「はいっ、どーぞ」
そして彼の前に並べられたそれは…
「日本食じゃん…！」
お味噌汁と白米。魚の塩焼きに、煮物。ひとらんが子供の時にはよく見た食卓がそこにあった。
日本人として国を出てきた身。ここの軍人の八割は西洋出身なため食文化とほとんど違う。
日本食など久しぶりだ。
「え、何これ…？Aが作ったの…？」
「そうですよ！すごいでしょ？」
黒染めが色落ちして焦げ茶になった髪の毛を照れたように触りながら彼女は微笑んだ。
「でも一体どうして急に？」
「ひとらんたいちょー最近疲れてたでしょ！お疲れ様って意味を込めて作りました！」
今ならAを抱きしめられる。本気でひとらんはそう思った。
「ほらほら、早く食べないと冷めちゃうから食べてください！」
「うん。本当ありがとね。…いただきます」
箸を使って、ほかほかのご飯と湯気の出ているお味噌汁を口に入れる。
赤味噌派であったひとらんは、Aの白味噌でできた味噌汁をのんで白味噌派となった。それぐらい美味い。魚もまた薄味であったが、それが疲れたひとらんの胃に染みる優しい味であった。
極め付けは、煮物。
「どうですか…？」
Aは向かいの席に腰をかけてひとらんの食べる様子をじっと見ていた。
「すごく美味しいよ」
ひとらんは嘘偽りなく言った。
「特に、煮物。久しぶりに母さんの味思い出したよ」
ひとらんが笑うとAはほっとしたように笑顔になる。
「料理ができる人なんて、お嫁さんにどうですか？」
一瞬見せた彼女のしおらしらはどこへやら、またからかってくるものだからひとらんは「はいはい」と彼女の言葉を流した。
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鳩山(プロフ) - 114514さん» コメントありがとうございます…！（そっとハンカチを差し出す）難民さんに刺さるお話があれば幸いです！ (2020年7月3日 19時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
114514 - ぐはっ（吐血） (2020年7月1日 21時) (レス) id: 3a17ec7a5b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんコメントありがとうございます…！難民として完結できたことを誇りに思います！今後とも活動は続けていきますのでよろしくお願い致します…！ (2020年4月7日 17時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - htrnさんの素敵なお話ありがとうございました……！ (2020年4月7日 7時) (レス) id: 742aa07519 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 外ピさん» コメントありがとうございます！htrnは私の最推しでして、自給自足のためにこの作品を作りました。その言葉に私は咽び泣くほど嬉しいです…！ありがとうございました！もう終わりに近づいてはおりますが、今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月29日 21時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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