初恋は叶わない（学パロ） ページ19
⚠悲恋、女々しいひとらんらんがいます
「ねえ、ひとらん聞いて！わたし好きな人が出来たんだ！」
いつも通り学校までの通学路で幼馴染みのAが放った言葉は、俺にとって何よりの衝撃を受けるものであった。
「良かったじゃん。応援するよ」
今、俺はちゃんと笑顔を作れているだろうか。自分の顔が醜く歪んでいないかとても心配になる。そんな俺の葛藤も知らない彼女はニコニコといつもの笑顔を向けていた。
「わたしね、その人のこと頑張ろうと思うの」
少女漫画やドラマを観て瞳を輝かせていた頃とは違う。ちゃんと一人の異性に恋をして、その相手を思い浮かべて頬を染める彼女がそこにいた。
ずきり、と胸が痛む。本心を言ってしまうと彼女の口から自分以外の男の名前が出るのは嫌だった。
生まれた頃から共に居て、家も隣で、側にいるのには当たり前な存在がAであった。小柄で、素直で、可愛い彼女に惚れるのは俺にとって自然なことであった。
Aは俺の初恋だ。
悔しい気持ちを押さえながら自分でも無意識の内に拳に力を込めてしまっていたようで、手の平を見てみれば爪が食い込み血がにじみ出ていた。
「ひとらん、大丈夫！？手から血出てるよ」
些細なことでも俺の心配をしてくれる。そんなちっぽけなことが嬉しくて、今だけはAが俺だけを見てると思う優越感に浸る。
「ほら、絆創膏貼るから手貸して？」
「A」
絆創膏を貼り終え、どうしたの？と俺の顔を覗き込むAのその姿さえ愛おしいと感じてしまう。好きだ。大好き。愛してる。言えたらどれだけ楽なんだろうな。でも…きっと君を幸せにするのは俺じゃないから。
「俺は、Aのいちばんの味方だからな」
「ありがとうひとらんっ」
柔らかく笑う彼女が眩しい。
手を伸ばせば届く距離なのに、俺は手を伸ばすことを諦めてしまった。
Aと、また意味もなく名前を呼ぶと心配そうな顔をしてこっちを向いた。
臆病で気持ちを伝えられない俺は君の恋をいちばん近くで応援するよ。それが俺に出来ること。だからお願い。俺の前で君の恋を見せないで。なんて、ね。
心配そうに見つめてくるAの額にデコピンをする。いたい、と額を抑える彼女に笑ってやった。
(いちばん近くできみの恋を見てきたんだ)
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鳩山(プロフ) - 114514さん» コメントありがとうございます…！（そっとハンカチを差し出す）難民さんに刺さるお話があれば幸いです！ (2020年7月3日 19時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
114514 - ぐはっ（吐血） (2020年7月1日 21時) (レス) id: 3a17ec7a5b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんコメントありがとうございます…！難民として完結できたことを誇りに思います！今後とも活動は続けていきますのでよろしくお願い致します…！ (2020年4月7日 17時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - htrnさんの素敵なお話ありがとうございました……！ (2020年4月7日 7時) (レス) id: 742aa07519 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 外ピさん» コメントありがとうございます！htrnは私の最推しでして、自給自足のためにこの作品を作りました。その言葉に私は咽び泣くほど嬉しいです…！ありがとうございました！もう終わりに近づいてはおりますが、今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月29日 21時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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