＊ミモザ ページ46
星が手に届きそうなくらいの距離にある。ゾムのエメラルドの瞳は上を向いていたからか、星が瞳に落ちたかのように輝いていた。
「それって…どういう意味？」
「言い方が悪かったな。…妹の復讐のためにAの家に忍び込んで火をつけた俺はな、死ぬ気やったのに生き残ってもうた」
「私は生きてくれてて嬉しいよ」
「嫌になるほどお前らは優しいなぁ。こんな俺にそう言ってくれてありがとな」
ゾムは猫のように目を細めた。その表情を見ると胸が苦しくて切ない気持ちになる。
「…俺は死ぬつもりやった。でも体は抵抗してたみたいでな、無意識のうちに逃げてたんや。まあ煙を吸ったせいか倒れとったんやけどな。そんな俺を発見したのは──グルッペンやった」
「え？」
「グルッペンは俺に何でこんなことをしたのか問い詰めた。そして最後にお前が生きてくれて嬉しいって言ったんよ。ほんまお前らそっくりやわ…。大先生やなくてグルッペンの妹って言った方が信用できるで」
「グルちゃんが…」
「せやで。グルッペンはお前に俺が生きてたって話をしたかったみたいやけど、俺は嫌やった。Aに軽蔑されるのが怖かったから。」
「そんなことで、軽蔑するわけないじゃない…」
「家を焼かれたら普通絶交やろ。」
「別に私は平気よ」
「それは結果論やろ？俺はほんまに臆病やったから嫌でな。大先生ともその後会った訳やけどひっくり返っとったで。」
「想像がつくわ」
「あの反応は笑えたで。でな、グルッペンがまた俺を説得してきたんやけど、今度は大先生がストップかけたんよ。Aは記憶を失って不安定やから今は思い出させん方がいいって。」
「俺はこう見えてほんまに反省したんよ？俺が傷つけて泣かせてもうたんやなって。さらに記憶まで消えるとかトラウマもんやん？もう二度とお前の前に現れるつもりはなかった」
「……」
「そしたらグルッペンが今度は国を出て行くとか言うし…当然お前も来るやろ？とかおかしなこと言われて…。命の恩人を頼みを断ることも出来へんかったから俺はグルッペンの提案にのったんよ」
「そう、だったのね」
あの日、Aにβ国を出て行くと言ったグルッペンは何を考えていたのだろう。もしかしてゾムの話をすることでAの記憶を思い出せようとしていたのだろうか。Aはグルッペンの顔を思い浮かべると、笑いが出てきた。
「本当にお節介なんだから」
「グルッペンには敵わんよなぁ」
二人は並んで空を仰ぐ。
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鳩山(プロフ) - ろわ。さん» コメントありがとうございます…！拙い文章でしたが楽しんでもらえたなら幸いです。嬉しいお言葉本当にありがとうございます…！ (2019年11月27日 21時) (
レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ろわ。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後の結婚式のシーンでは私までut先生みたいになりました...。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2019年11月22日 2時) (レス) id: a9da82584b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ロアさん» ロアさん！コメントありがとうございます！労いのお言葉まで…！最後まで読んでくださって本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 13時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 完結おめでとうございます！！( ；∀；)お疲れさまでした (2019年11月21日 8時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ウルさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいお言葉、そして完結まで読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 6時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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