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仇敵またもや現る ページ8

「この高貴なる学園に、汚く醜い貧乏貴族が入学したって本当ですの?」
「あぁ。本当みたいだな。恥知らずもいいところだ」
「ストラスブールの恥ですものねぇ」

 春の花を堪能していたAの気分を下げる声が聞こえる。自分の国の名前が出れば足を止めてしまうのも当然で。茂みに隠れてひょっこり顔を出す。
ストラスブールの特徴的なブロンドヘアーにサファイアの瞳を持つ者達が、一人の男を囲んでいた。その男はストラスブールでは珍しい赤みの掛かった黒髪に、轟々と燃え盛るルビーの目。新品の制服には釣り合わない解れかけた赤いマフラーを巻いて彼は壁に背を当てていた。

───トントン・シュヴァイン!!な、なんでこの男がこんな場所に…!?

 グルッペンだけで頭がいっぱいであったAに衝撃が走る。仇敵がこんな場所に忍んでいるなんて思いもしなかったからだ。

 葉っぱが頭につくことも構わずに立ち尽くすAに与えられた選択肢は二つ。一つ目は知らぬふりをして彼を見捨てること。そして二つ目はストラスブールの皇女として彼に手を差し出すことだ。
言わずもがな前世ではこのような出来事を覚えてもしないので見捨てる、という選択肢をしたのだろう。だが、Aは知っていた。

───見捨ててしまえば、わたくしはまた彼に恨みを与えて…、断頭台送りになってしまうのではありませんこと?!

 経験から人は学ぶものだ。前世ならば足を止めもしなかっただろうに非常に大きな進歩がここにある。Aはゴソゴソと茂みから飛び出す。さながら野生の動物のように。

「これはこれは皆様。ご機嫌よう」
「な…!?」
「急に誰ですの?私達の邪魔をなさらないでもらえますこと?」
「そうだ。これはストラスブール国内での問題だぞ」

 ストラスブールの貴族の言葉にAは呆れ返ってしまう。前世の自分が窮地に陥ったときに、差し出される手が少なかったのも理解ができたような気がした。
───彼らは自分たちの王の子の顔も分からないのですのね。これは、しっかりと教育(・・)が必要ですわ。

 太陽の光の元、Aは優雅にスカートの裾を持ち礼をする。長いスカートではないために不格好であるはずなのに洗礼されたその動きは皆の動きを止めるには十分ではあった。
 健康的な白い肌には桃色が差していて、太陽の光を浴びることで彼女の長く美しいブロンドがキラキラと輝いている。そして誰よりも印象的な青の閃光を放っていたのだ。

ブルーサファイアの姫君→←久々の学び舎で悲劇は起こる



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作品ジャンル:ラブコメ
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枕の怨念ぅ - 凄く親近感の湧く小説でした!面白いです! (11月18日 16時) (レス) @page5 id: 7f1a8024d0 (このIDを非表示/違反報告)
くれぴと - 夢主様考えることが言い方悪いけど欲望に忠実すぎて逆に幼子みたいで少し可愛らしいと感じる自分がいる...これうちだけかな? (5月7日 20時) (レス) id: e2b452ca9a (このIDを非表示/違反報告)
春風駘蕩(プロフ) - コーネコネコーネは笑う⋯めっちゃニヤついてしまった⋯ (2022年9月17日 23時) (レス) @page14 id: 34351208ff (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - knさん…名前めっちゃコネるやん…不覚にもねるねるねーるねを思い出してしまった…。すみません…。 (2020年12月11日 5時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - こすずめさん» コメントありがとうございます…!一応チラッとだけ概要に書いているのですが、バチコリと読んでおります!元ネタは某なろう系のものです!お褒めの言葉並びに応援のお言葉をありがとうございました…!本当に励みになっております! (2020年9月14日 2時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鳩山 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月31日 16時

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