検索窓
今日:179 hit、昨日:107 hit、合計:1,174,569 hit

騎士の誇りを懸けた戦い ページ36

Aはその生徒手帳を指で撫でる。
リオルディ商会。海洋国家である半島を活動の拠点とし、さまざまな商品を売り捌く、大きな商会である。シャオロンがそのリオルディ家の家系であるとはすぐに分かった。彼らの家の者は、シトリンの瞳を持っているからだ。しかし、少しだけ気になることがある。

───確か、リオルディ家は一人息子であったはず。わたくしの記憶が正しければ"シャオロン"という人間はいませんでしたわね。

 そう。前世ではストラスブールもまた、リオルディ商会から商品を買っていた。しかし王族であるAへ挨拶をしてきた商人は決してシャオロンではなかった。どちらかといえば彼よりも知的な男だったように記憶している。一人娘であるAに並んだ彼は酒を交わしながら「自分に兄弟はおりませんので」と言っていたような、気がした。もちろん昔のことであるので曖昧ではあるが。

「……とりあえず、まずはこれを返さなくてはなりませんね」

.
.

「お、Aやんけ」
「コネシマ様ご機嫌よう。何かを眺めていらしたようですがこちらに何かありますの?」

 彼が苦手なのは変わらないが、向こうから声をかけられてきたなら仕方がない。Aは笑顔で挨拶をする。チラリとこちらを見ただけでまた遠くへと視線を向けたコネシマの後を追うように視線を送る。

 彼が見ていたのは、男子生徒達が剣を握る姿であった。

「もうすぐ剣術大会やろ?」
「あぁなるほど…だから皆さま剣を握られているのですね」
「おん。お坊っちゃま達がへっぴり腰で、騎士の誇りを懸けて戦う姿が面白すぎてなぁ。」
「…余裕なのですね」
「はは、俺が負けると思うか?」

 コネシマは挑発的にこちらを見て笑う。Aは確かにヴーヴェの武力を知っているので肩を竦めるだけに留めた。

「なあ、A。せっかくやし俺の応援してや」
「えっ」
「剣術大会では男の健闘を祈って女が刺繍を施されたマントを纏うらしいやん」
「あぁ…そんなものもありましたね…」
「見ず知らずの奴から渡されたマントを背負うのは嫌やけど、お前なら別にええかなって思ってな」
「マントなんてなくともコネシマ様なら勝ち残りそうですわ」
「ハッ…よう分かっとるやん。俺と互角なのはグルッペンぐらいやろうなぁ」

 小さくぼやいた彼は笑っているのに、どこかつまらなそうにベニトアイトを伏せた。

褒美がないなんて聞いてない→←シトリンの落とし物



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (923 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2076人がお気に入り
設定タグ:wrwrd! , d! , 軍パロ   
作品ジャンル:ラブコメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

枕の怨念ぅ - 凄く親近感の湧く小説でした!面白いです! (11月18日 16時) (レス) @page5 id: 7f1a8024d0 (このIDを非表示/違反報告)
くれぴと - 夢主様考えることが言い方悪いけど欲望に忠実すぎて逆に幼子みたいで少し可愛らしいと感じる自分がいる...これうちだけかな? (5月7日 20時) (レス) id: e2b452ca9a (このIDを非表示/違反報告)
春風駘蕩(プロフ) - コーネコネコーネは笑う⋯めっちゃニヤついてしまった⋯ (2022年9月17日 23時) (レス) @page14 id: 34351208ff (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - knさん…名前めっちゃコネるやん…不覚にもねるねるねーるねを思い出してしまった…。すみません…。 (2020年12月11日 5時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - こすずめさん» コメントありがとうございます…!一応チラッとだけ概要に書いているのですが、バチコリと読んでおります!元ネタは某なろう系のものです!お褒めの言葉並びに応援のお言葉をありがとうございました…!本当に励みになっております! (2020年9月14日 2時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鳩山 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月31日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。