六本目 ページ7
「Aどこ行くんや？」
「門をくぐって、宮殿の外に出るの！
わたしのものになったんだから文句言わずについてきてよね！」
「…おれ、なんか早まった気がするわ…」
「なんか言った！？」
「いえまったくぜんぜん」
陽が差し込んだ気候の良い日に、私と彼は宮殿を抜け出す。ゾムは宮殿を抜け出すことに文句あり気だが、お母様の病を助けるためだ。大陸の中でも一番西に位置する亜の国では珍しいものがたくさん手に入る。だからきっと丹もあるはず。
「そうねえ、
「ありがとうございます！」
行き交う人から聞いた情報を元に、丹も扱っているという商人の店に向かう。
引き戸を開けた見えた店内は、この辺一番とはいえ人っ子一人いない空間だ。見たこともない道具がいくつも並んでおり、私とゾムは瞳を輝かせる。
中でもゾムは武器に目がいっているようで「かっこえぇ…」と独り言が漏れていた。
「ゾム。ちゃんと本来の目的わかってるよね？」
「もちろんや。丹やろ丹。見るだけなんやからええやん」
座り込んで武器を眺めるゾム。本来の目的が分かっているのなら特に怒る理由もない。店主を呼ぼうかとしたとき、引き戸が開く音がした。ゾムと私はそちらを見やる。
「なんだ、客か」
「……
「あなたはここの店主？」
「…そうだが」
「なら話は早いわ。ここにある丹をくださいな」
「丹がどれほど高価なものか分かっていないのか？」
「値が張るのね…。これを代価にすることは可能？」
私は結った髪から簪を取りそのまま店主へと渡す。
「これは私の母が黄の国から嫁入りする時に持ってきた品で、貴重な玉石を使用してるの。何かのとき役立てるようにわたしにくれたの」
男は私の手から簪を受け取って、まじまじと見て鼻で笑う。
「龍紋、か。お前は龍紋が何を示すか知っているか？」
「……分からない」
「ふむ。己では価値を分かっていないと。ならばこれを受け取ることはできないな。…それより、そこの胡人を売ったらどうだ？」
男は悪どい笑みを浮かべてゾムを指差した。
「お前の家畜だろう？珍しい色をしているから見世物にすれば稼げるぞ。わざわざ来たのだ。丹で治したい人がいるのだろう。家畜か想い人か……さあ、選べ。」
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鳩山(プロフ) - 妹。さん» コメントありがとうございます…！後半は色々と盛り込んでしまいましたが楽しんでいただけたなら幸いです。ご愛読本当にありがとうございました…！ (2020年10月17日 11時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
妹。(プロフ) - 友人に勧められて拝見させて頂きました。原作も知っていたのですが、原作の終わり方は中々はっきりとはいかなかったと思うので、急展開でも寧ろバリバリのハッピーエンドになってるのが個人的にめちゃくちゃに好きです。ほんとに良かった。涙ながら読みました… (2020年10月17日 4時) (レス) id: 15a5300c38 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ものくろ。さん» コメントありがとうございます…！原作を読み、感動のあまり書き殴ったものですが楽しんでいただけたようで何よりです…！最後までお付き合いしていただき本当にありがとうございました…！ (2020年8月3日 15時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
ものくろ。(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました（笑）私も原作を読んだことがあり「もしかして…」と読み始めたこの作品ですが本当に楽しませてもらいました！原作久しぶりに読み返そうかなと思ってみたり…笑 最後までありがとうございました！お疲れ様でした！ (2020年8月3日 15時) (レス) id: f4afc82ded (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 野々宮蓮花さん» 野々宮先生……あ、ありがとうございます！語彙なんて必要ありません、感想を下さったことに涙が出てきてしまいます。最後までお付き合いしていただき本当にありがとうございました。私は幸せです。 (2020年7月13日 19時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
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