何度だって告白を (ページ9)

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【そら】

『あ、タバコ吸ってんじゃん』

そ「バレたか」

ベランダに出てタバコを吸おうとしたところをAに見つかった。Aもベランダに出てきて俺がタバコに火をつけるのを眺めている。

そ「何このカップル感」

『ここで私が一本吸いたいって言って、試しに吸ってみたらむせちゃって、そらがAはお子様だからなーって言って私が違うもん！って怒るところまでがセット』

そ「よく喋るな夜なのに」

『ふふ、深夜テンション』

そう言って狭いベランダで腕を大きく広げて蝶のようにパタパタする。

そ「一人で黄昏に来たのに雰囲気ぶち壊しか」

『いいでしょ暇なの』

そ「お前いつも暇じゃん」

『うるさい』

そ「一緒に住んでる限りこういう意味不明な時間って増えてくんだろうな」

『出て行くつもりないから多分一生だよ。ドンマイ』

笑いながら俺の背中を二度叩いた。タバコ吸ってるのに危ないわ。
そのまま掌を背中に滑らせやがて離す。

『でも私、こういうなんでもない時間を忘れたくないんだ』

そ「わかるよ」

『五人の思い出は沢山写真に撮りたいよね。おばあちゃんになっても見返せる』

そ「じじばばになっても五人でいんの？」

『当たり前じゃん』

そ「Aってほんとに結婚する気ないのな」

『五人で結婚できないかなって思ってる』

そ「無理です」

『待ってほんとタバコ苦手だわ。匂い耐えらんないんだけど。よくそんなの体内に入れるよね』

そ「お前がタバコ無理だから俺はベランダに出てるのに一緒になって出てくるからじゃん」

『だっていつも誰かと一緒にいたいじゃん』

そ「甘えだな」

『甘え？初めて言われた』

そ「気付いてないかもしれないけど俺ら四人Aに甘々だわ」

『優しいとは思ってたよ』

そ「感謝しろよな？」

『してるよー』

そ「甘やかしすぎたからこう育ったのかもしれないけどな」

『そらたちにもちょっと原因あるでしょ』

そ「おい」

『…一生結婚できなくても、思わず私のこと甘やかしちゃってもいいからさ』

落ち着いた声のトーンにAの横顔をチラッと見る。普段より幾分か大人っぽく見えたのはタバコの煙のせいか、夜のせいか。

『ずっと一緒にいたいなあ』

いるよ。いるに決まってる。

『いなくならないでね』