何度だって告白を (ページ47)

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【A】

『やっぱり忘れることが多いみたいで』

医「仕方ないことではあります。でも治ることはないですし、一緒に住んでいる人に黙っておくのは無理がありますね」

『いつか言わなきゃならないんですかね』

医「そうですね。ご自分で言うのが難しければご家族の方とか、自分の症状をよく知っている方に来てもらえれば私が代わりに説明することもできてAさんの状況や症状の例がよりわかると思うのですが」

『いえ、結構です。誰にも言うつもりはないので』

医「でもこれから忘れることが多くなったら、人のサポートが必要になってきます。心のケアなんかも信頼できる人にお願いできるのが望ましいのですが」

『…考えておきます』

やっぱり。やっぱりみんなが言ってた通りだ。
もしかしたら知らないだけでもっと沢山のことを忘れちゃってたりするのかな。だとしたらみんなに無理をさせてたのかな。申し訳ない。

帰り道、遠回りをしていつもは行かないコンビニに寄った。今はみんなに会いたくなかった。

久しぶりに肉まんを買った。
近くの公園のベンチで食べた。今は人目も気にならなかった。

『これからどうしよう』

誰に話しかけたのかわからないけど、とにかく口に出したかった。外に思いをぶちまけたかった。

『私が出て行けば、みんなのこと忘れられるかな』

覚えていられないなら、全て忘れるのも手だと思った。そうすれば嫌なことを考える時間はなくなる。

私が考えているのは常に四人のことで、そらが頑張りすぎてないかなとか、みっくんアホだけど優しい包容力があるから実は頼りになるなとか、りっくんはずっとみんなのことをじっくり観察してて、私のことにもすぐ気付いてくれるなとか。

えいちゃんは。
えいちゃんのこと好きだなとか。
できればずっと一緒にいたかったなとか、好きって言ってくれた時幸せだったなとか。
私がいなくなったらすぐ別の女の子見つけちゃうのかなとか。

バカみたいにみんなのこと考えて、幸せな気持ちになって、同時に苦しくなる。
私はアバンティーズに迷惑をかける存在だから。

きっと出て行く以外ないのだとわかってはいるものの、やっぱりみんなのことが大好きだ。

今だって、こうやってみんなから離れることを想像するだけで涙が止まらないんだから。

でももう決めた。私はアバハウスから出て行く。