何度だって告白を (ページ46)

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【A】

みんな、私の誕生日会なんてしてくれたんだ。
なんで覚えてないんだろう。

自分の部屋に入って考えていると、ふと立てかけてある写真が目に入った。ベッドから立ち上がって写真を見る。豪華な飾り付けの部屋に大きなケーキ、全員何かしら身につけて浮かれてる。そして真ん中で幸せそうな顔をしている私。“本日の主役”と書いてあるタスキをかけてピースしてる。
これ、多分私の誕生日だ。

見ても思い出せないのが辛くて、信じたくなくて涙が溢れる。

『思い出してよ…』

自分に語りかけても、いくら記憶を順番に辿ろうと、この日の記憶は何もない。
まるでこの時だけ別の人物が私の体に入ってたみたいに、何も思い出せない。
こんな幸せな時間を忘れるなんて最悪。

きっと今頃みんなは深刻な顔をして私のことを心配してくれてるんだろう。それもまた胸が痛くなる。私のせいで忙しいみんなの心に余裕がなくなるのは嫌だ。

え「A」

ドアをノックされ、えいちゃんに呼ばれる。

え「大丈夫？」

『大丈夫』

え「入っていい？」

『ダメ』

え「着替えてんの？」

『ううん』

え「じゃあ入るわ」

勢いよくドアを開いてえいちゃんが入ってきた。
写真を見ていた私を後ろから強く抱き締める。

『ダメだってば』

言葉では突き放すことを言うけど、行動には移せない。本当は安心して仕方なかった。えいちゃんの体温があったかくて、ずっとこうしていてほしいとさえ思った。

『ダメだよ』

え「誰がここに来てもこうするから」

『えいちゃんはダメだよ』

え「なんで」

『好きだから』

え「俺も好きだよ」

『ダメなの。これ以上いけないことした事実を増やすのやめようよ』

無理矢理えいちゃんを引き剥がす。きっと彼は今悲しい目をしてる。そう思うと胸が苦しい。

『心配してくれてありがとう。大丈夫だから。今度病院行こうと思ってるし』

え「大丈夫ならなんで泣いてんの」

『ほんと、大丈夫なの。心配しないで。私こう見えて結構メンタル強いし』

え「お願いだから変なこと考えないでよ。最近A危なっかしいから」

『大丈夫』

え「出て行こうとか、姿消そうとか、もっとひどいこととか」

『大丈夫だってば！』

強く言ってしまう。

『大丈夫だから、私』