何度だって告白を (ページ37)

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【そら】

『やばいやばいやばい、来る来る』

そ「え、待ってやだ怖い」

『きゃー！！！』

そ「うわっ！無理！助けて！」

音声だけだと何をやっているのか意味不明だけど、俺は今Aと二人でホラー映画を見てる。苦手なくせに誘ってきたからバカにするつもりで一緒に見てたのに、何これ普通に怖い。

『これもう一回怖いの来る？』

そ「来る気が、うわっ！無理怖い！」

『やだー！！』

ソファでくっついて映画を見てると、足音が聞こえてきて抱き合いながら恐る恐る振り向いた。

そ「…なんだえいちゃんか」

『タイミング！怖い！』

え「いや知らんわ。つーか何、近くない？離れて」

『なんでよ怖いのに』

え「この時間に男女がくっつくのは非常によろしくない」

そ「いやAは別でしょ」

『そらは別でしょ』

え「ほーん」

なんだよ、えいちゃん普通に嫉妬してるだけのくせに。本当はAと誰かがくっついてるのが嫌なだけでしょ！

そ「じゃあえいちゃんがAに付き合う？」

え「なんでそうなんだよ」

そ「俺もう怖いし」

『誰でもいいから一人にしないでくれない？』

え「いいけど」

素直じゃないなあ。

そ「じゃあよろしくえいちゃん。ていうかAそろそろ寝るんじゃない？」

『かもしれない。もし一人で見る羽目になったらごめんね』

え「最悪じゃん」

そ「じゃあおやすみー」

後ろから見張っておこうかと思ってしばらく二人の後ろ姿を見てた。
そしたらやっぱりAは先に寝て、ホラー映画をつけたままえいちゃんを一人にした。

首を90度に折って眠るAを見て、えいちゃんはAの頭を自分の肩に乗せた。
イケメンかと思った。びっくりした。

え「寝てんの？」

返事はない。
多分さっきの悲鳴が嘘のように爆睡なんだろうな。

え「消していい？これ」

何も返ってこないからえいちゃんはなるべく体を動かさないようにリモコンを取って、テレビを消した。

え「お前さ」

呆れたように言い出すからえいちゃんもホラー嫌だったのかなと思ったけど、全然違った。
予想してたセリフとは全く違った。

え「なんでそんな可愛いの？」

集中してないと聞き逃してしまうくらい小声だったけど、確かにそう言った。
びっくりしすぎて音を立ててしまうかと思った。

普段なかなか可愛いとは言わないえいちゃんの可愛い。

なかなか事件です。