何度だって告白を (ページ33)

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【エイジ】

買い物事件が起こってから、Aが外に出る時は誰かがついて出ることになった。今日は俺だ。

『なんかさ、こういうのなんて言うんだっけ。へいきんだい？みたいな。こういうの見ると登りたくなるんだよね』

車道と歩道の境目の高いところに登り、バランスを崩さないように一歩ずつ歩く。

え「もしかして幼稚園児なの？」

『違いま…うわっ！』

ほぼ反射的に体が動いてAを支える。
元の体制に戻してから右手を差し伸べる。

え「危ないから」

『王子っぽい』

え「うるさいんだわ。黙って繋がれてろ」

『じゃ、遠慮なく』

手を繋いだままゆっくり歩道を歩く。一瞬だけAの横顔を見る。高いところに登っても俺には追いつかない身長。

これ、いつ離すんだろ。
意識したらなぜか頭が沸騰しそうで、それと反対に涼しい顔をしているA。

『えいちゃん』

え「…ん？」

『私、どうしてこの前買い物に行くこと忘れちゃったんだろう』

え「なんでだろうね」

『私に、一体何が起こったんだろう』

ほぼ同じ目線にいるせいで余計によくわかる不安そうな顔。何が起こったのかわからないのは俺も一緒だ。

『最近ちょっと、怖いんだよね』

え「大丈夫」

手のひらを強く握る。
小さくてふわふわしている手には慣れが必要かもしれない。

え「俺らがいるじゃん。なんにも考えなくていいよ。不安になんかならなくてもいい」

『もし、私になんかあったら』

え「何もないって」

『あったら。もしもの話してるだけだよ』

Aも小さな手で俺の手を握り締める。

『それでも一緒にいてくれる？』

え「何その質問。バカなの？当たり前じゃん」

『安心した』

今度は手の力が緩められる。
俺が心配なのは、もしAになんかあったらA自身が逃げるんじゃないかってこと。

一緒にいて欲しいのはこっちなのに。
Aがいないと生きていけないダサい奴はこっちなのに。

もうとっくの昔に気付いてる。
俺はAに惹かれてる。