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【エイジ】


最近、Aがなんか変。
具体的にいつからかはわからないけど、なんか変。
ぼーっとしてることが多いしたまに寂しそうな顔を見せる。


え「A!」

『うわ、びっくりした』

え「なんか元気なさそうだし、たまには二人でお酒でも飲む?」

『あれ?今日みんないないんだっけね』

え「そう。多分俺らが寝るまで帰ってこないよ」

『ふーん。じゃあ、飲んじゃう?』

え「飲んじゃお」


冷蔵庫にあった誰のかわからないビールを取って二人並んで座る。


『かんぱーい!』


無邪気な笑顔が見られてよかった。こいつの笑顔と笑い声は無敵だよな。


『おいしー!』

え「お酒久しぶり?」

『うん。意外と飲んでないかも。でも調子乗って飲んだらえいちゃんのこと止める人いなくなるからな』

え「えー、気にせず飲んだらいいのに」

『たまには二人でおかしくなってみる?』

え「なってみよ」


結果Aはいつもより飲んで、もうこの家にお酒があるかどうかも確認できないほどべろべろになった。それに対して俺はさほど飲んでない。


『えいちゃん起きてるかーい』

え「起きてるー」

『目が開かない。眠い』

え「寝たらいいよ」

『ちょっと待って行かないで』


俺はずっとAのことを見てたから、急に目を開いて腕を掴まれたのには驚いた。


『どっか行ったりしないで』

え「A?」

『一人にしないで…』

え「どうしたの?」


急に涙をぼろぼろと零すAに困惑する。何かしたかな、俺。
わけもわからずAの頬を滑り落ちる涙を見ていた。最近様子がおかしいと思っていたのは考えすぎじゃないみたい。


『えいちゃん』


涙の跡が残り、酔って火照った顔の中の溶けそうな目が俺を射抜く。何かを抑えられなくなった俺はAの涙を拭うと同時に抱き締めた。


『えいちゃ…』

え「ごめん」


ずっと一緒にいたのに抱き締めたことなんてなかった。知らないAにおかしくなりそう。
一体どのくらいこの体勢でいたのかわからないけど、割と短い間だったと思う。俺が次にAに声をかけた時、Aは寝てしまっていた。
そのままソファで眠らせることにして、毛布を何枚かかけた。


『おはよーえいちゃん』


いつもと変わらないAの姿に安心する。多分昨日のことは酔いのせいで記憶にない。


え「おはよう」


忘れよう。昨日のことはなかったことにするんだ。
それが一番二人にとっていいはずだから。

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tokita(プロフ) - 続き楽しみにしています! (2021年3月12日 1時) (レス) id: 4df3902f7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2021年3月9日 0時

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