何度だって告白を (ページ23)

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【A】

家に帰るまで、それから帰った後も、私の目にはえいちゃんの髪の毛しか映らない。
ファンの子にも言われてたけどなんでこんなにさらさらなのよ。ずっと染めてるくせに。

え「ねえ俺ハゲてる？」

隣に座った時に聞いてきた。

『なんで？』

え「さっきからずっと俺の頭見てるじゃん。怖い」

バレてた。本当に私のことよく見てるし気付いてくれるよね。

『ほんと、さらさらだなって思って』

それから私は一体何を考えたのか、えいちゃんの頭に手を置いて謎に撫でた。
自分でも知らないうちの行動で、気付いた時にはもう遅かった。

え「何やってんのー？」

やっぱり私が触っても、絶対拒否しない。
これも信頼してるからなのかな。

え「無言で頭撫で続けるとか意味わかんないんだけどどうしたの？」

めちゃくちゃ笑ってるえいちゃん。可愛い。
可愛いからずっと撫で続けてやろうか。
と思ったけど、えいちゃんは急に頭を撫でる私の腕を掴んでやめさせ、こっちを向いた。
その眼差しが驚くほど真っ直ぐで、射抜かれるんじゃないかと思ったし、何より怒られるかと思って怖かった。やりすぎたかな。

え「俺の髪の毛をどうしたいわけ？」

『別に？』

え「ただちょっかいかけてるだけ？」

『うん』

だんだん近づいてくるえいちゃんになぜか心臓が跳ねる。鼓動が聞こえてないか不安だ。

するとえいちゃんは私のほっぺたをぎゅっとつまんできた。

『痛い』

え「ふはは、おもろい顔」

ほっぺたから手を離してその手を私の頭に一瞬ぽん、と置いてから立ち上がってどこかに行ってしまった。

『今の何…』

なんか、ときめいたって言うのかな、これ。
今えいちゃんが私の方を見て笑った時、頭に手を置かれた時、意味わかんないくらいドキドキした。

何よ今更。そんなことあるわけないでしょ。
自分に言い聞かせても気持ちは正直で、それに釣られてさっきのドキドキがぶり返してきた。

『ダメでしょそれは』

誰にも聞こえないくらいの声で呟く。
今まで長い時間をかけて築き上げた信頼を、一瞬で崩しかねないこの感情。

封じ込むしかない。誰にも言えない。
普段通りに接さなきゃ。

明るく振る舞うのは得意だから。