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【A】
そ「誕生日ー!」
り・つ・え「おめでとう!」
大きくなるクラッカーの音。
びっくりして目を閉じちゃった。
つ「ほらほらいいから座って」
『びっくりすると声出なくなるって本当なんだ』
え「もしかして今日誕生日だって忘れてた?」
『完全に』
り「もっと自分のこと大事にしないと!」
『誕生日くらい忘れるでしょ』
つ「えーでは、Aさん、何歳になったのか教えていただけますか?」
『えっと…何歳だっけ?』
つ「覚えてないの?」
『忘れちゃった』
つ「二十二だよ!忘れちゃダメ!」
『ああ、二十二か。年取ったなあ』
そ「今からが本番だろバーカ」
みんなのことに気を取られすぎて自分の誕生日も年齢も忘れちゃってたみたい。
まだ二十二なはずなのにいけないな。
つ「はい、じゃあちょっと待ってて」
そう言って走って何かを取りに行くみっくん。
なんだろうと少しの間待っていると大きなケーキが運ばれてきた。
つ「おめでとう、A」
『おいしそう…』
え「みんなで写真でも撮ってから食べる?」
『そうしよ!』
私のスマホをえいちゃんに渡してみんなでケーキの周りに顔を寄せる。五人でぎゅうぎゅうになって写った写真。全員楽しそうに笑ってる。
そ「これね、サプライズしようって言い出したのみっくんなんだよ」
『そうなの?意外』
つ「なんかAのことお祝いしたい気分だったんだよね。日頃これでもかってくらいお世話になってるし」
『成長したねえ。みっくんはずっと赤ちゃんのままかと思ってたのに』
つ「ほんと失礼!もういい!ケーキ食べよ!」
『んふふ、でも感謝してるよ。私が覚えてないことをみんなが覚えててくれるのって幸せなことだし』
そ「確かにAボケてるから覚えてないこと多いもんね」
『そうかな?そこまでじゃないと思うけど』
とにかく幸せな一日で、今日だけは私がこの家の主役みたいだと思った。
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tokita(プロフ) - 続き楽しみにしています! (2021年3月12日 1時) (レス) id: 4df3902f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちもち | 作成日時:2021年3月9日 0時