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告白を断られても、まだ好きだった。
だから、ずっと彼を見てきた。だから、気づいていた……。
でも、悔しいから、もう一度想いを伝えてから諦めようとおもった。
高尾くんに協力してもらって、真ちゃんと2人きりになる。ちょっとデートみたいでドキドキしたけど、やっぱりそう思っていたのは私だけだったみたい。
お姉ちゃんのことが気になるのか、真ちゃんは浮かない表情だった。
だけど、私はそれに気づかないふりをしたのだった。
花火の話をしていると、高尾くんから電話がかかってきた。でも、正直出たくなかったし……出なければよかった。
「もしもしー?」
『あ、梨花ちゃん?実はAちゃんがいなくなっちゃって!連絡先分かんねーから梨花ちゃんに電話した!探してみるけど、そっちで見つけたら連絡して!』
電話越しの高尾くんはすごく慌てていた。
「え……わかった」
お姉ちゃんが迷子になるなんて、あり得なかった。たぶん、何かあったのかもしれない。だけど、何よりも……
「何かあったのか?」
(この事実を、真ちゃんに伝えるのが辛い……)
私は彼の質問に答えるのを渋っていた。言うと、言ってしまうと、分かっちゃうから。ううん。もう分かってるから、言いたくない。
「……梨花、教えるのだよ」
私の様子が変なことに気づいたのか、真ちゃんが眉間に皺を寄せながら問い詰めてくる。
こわい。怖い……彼の怒ったところも、この後の未来も。だけど、逃げられない……。
「お姉ちゃん……いなくなっちゃった……」
私は震える声で、なんとか伝える。
「っ!」
すると、息を呑んでからすぐに緑間くんは走っていってしまった。
「緑間くん……やっぱり、お姉ちゃんのこと」
薄々感じていたことだったが、やはりそれが間違いでなかったと知り、私はその場に立ち尽くしていた。
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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年5月10日 16時