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私は、自分の気持ちに気づいて、思わず逃げ出していた。絶対に、そんなはずない、こうならない、そう思っていたのに。
「て、あれ?ここどこ?」
……正気に戻り、立ち止まってあたりを見渡すと、全く知らない場所にいた。
とりあえず、連絡を取ろうと携帯を取り出す。
「あ……」
しかし、ここでやっと気づく。
私は、緑間くんと高尾くんの連絡先を知らない。頼みの綱は梨花だけだった。
そんな梨花に電話をかけるも、一向に繋がらない。……終わった。
(高1にもなって迷子とか、恥ずかしすぎ……)
不注意ならまだしも、今回は自ら迷子になったようなものだ。
(はぁ……)
あまり動き回ってもいけないと思い、私は適当な場所に立ち止まることにした。
「お嬢ちゃんっ、迷子?」
誰かに話しかけられたような気がした。多分気のせいだし、瞑想(ただの現実逃避)を邪魔されたくなかったため、とりあえず無視する。
「あれー?無視ー?」
先ほどとは違う声。
やはり、私に声をかけているのか。私は心の中でため息をついてから、仕方なく目を開けると、自分が数人の男の子に囲まれているとわかった。
(ん……?)
「あ、こっち見た」
「ケッコー可愛い顔してんじゃん♪」
明らかに好奇な目を向けられている。
動揺してキョロキョロと視線を動かすと、不覚にも1人の男と目が合ってしまう。すると。その人がニヤニヤしながら近づいてきた。
「ねね、今から俺たちと遊ばない?」
「……結構です」
私は平常心を装いながら答える。
「えーなんでー?ぜってぇ楽しいから、な?一緒に行こ?」
しかし、負けじと他の男がにじり寄ってくる。
「……っ!」
さらに別の男にお尻を撫でられ、思わず体が跳ねる。
「お、可愛い反応♪」
「や、やめてください……」
体を触られてからようやく、自分が相当やばい状況に追い込まれていると実感し、心臓がバクバクいってる。恐怖で声も体も震えてくる。だけど、ここで泣いたら余計に彼らを興奮させるだけだと、我慢する。
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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年5月10日 16時