CHAPTER ２ ページ8
火事の一件から数ヶ月後。花垣さんや直人君とは何の連絡も取れないまま、平和な時間だけが過ぎていた。やはり今の私は、9歳の小学3年生らしい。ということは万次郎は11歳の小5で、花垣さんは10歳の小4ってことか。小さい頃の万次郎を生で見てみたいかも。
そうは思っていても、皆の住んでいる場所が東京だということ以外知らない私には、どうすることも出来ない。僅かな悔しさを感じながらも、とりあえず今は耐えるしかないと、自身の感情を押さえつけながら私は生活していた。
＿＿そして事が動き始めたのは、普段と何ら変わりないとある夏休みのこと。
家の中でクーラーで涼んでダラダラ過ごしている私を見かねたお母さんが、「少しは外で遊んできなさい！」と言って、私を無理やり外に放り出したことが始まりだった。体は9歳でも中身は25歳なので、他の小学生達と遊ぶのも中々根気が必要で辛かった。そのせいであまり同じ学校の子と遊ばなくなってしまったこともあり、私の夏休みはほとんどが予定のない日になってしまったのだ。
お母さんから貰ったなけなしのお小遣いで道中にあったお店でアイスを買い、初めて訪れた公園のベンチに座って食べ始める。庶民的な味だけどこれが大人になっても中々飽きずに食べ続けられるのだから、アイスって凄い。それにしても暑いな〜なんて思いながら、眩しい太陽がギラギラと私を照りつける。帽子を被っていても暑いものは暑い。
暑さで溶けはじめたアイスが地面にぽたりと落ちたそこに、小さな蟻が群がっていく。あまり虫が好きではない私は、その様子に顔を顰めながら、これ以上地面に垂れないようにさっさと残りのアイスを口に放り込んだ。
私は時間も忘れて、ぼーっとしながらベンチに座り続けていた。
そんなときだった。
「さっきからそこでぼけっとしてるけど大丈夫か？」
「……どなたですか？」
私の前に現れたのは黒髪の青年。歳は20歳くらいだろうか。その顔は、誰かに似ているような気がした。その人は、私が警戒心をむき出しにしていることに気づき、少し困ったように眉を下げると、私と目線を合わせるようにしゃがみこんで、できるだけ優しい声音で話しかけてきた。……その動作が、初めて万次郎と会った時の彼の行動と重なって見えた。
「(……あぁ、そっか。この人、少しだけ万次郎に似てるんだ)」
フィリピンで会った27歳の万次郎は黒髪だったから、この人と重なって見えたのかもしれない。
「＿＿俺は佐野。佐野真一郎だ」
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しらす(｡∀゜)(プロフ) - えっっっぐい程面白いです！！！てか最初の赤音さんの救出で既にどハマりしました！！！好きです！！！大好きです！！！多分これから1週間位ずっと読んで読んで読みまくると思います！！！えマジで神作すぎて！！！大好きです！！応援してます！！！！ (2021年8月26日 16時) (
レス) id: 0ada0a2373 (このIDを非表示/違反報告)
納豆巻き(プロフ) - まさん» 初めまして！！タイトルに関してはかなり悩んだのでそう言って貰えて光栄です！！！これからも応援よろしくお願いします！ (2021年8月21日 11時) (レス) id: fe7138416d (このIDを非表示/違反報告)
ま(プロフ) - 初めまして！コメント失礼します！秀逸なタイトル回収にゾクゾクした勢いでコメント書かせてもらっています！続きが楽しみです。応援しています。 (2021年8月16日 19時) (レス) id: 462628ff0d (このIDを非表示/違反報告)
納豆巻き(プロフ) - アンズさん» そのように言って頂けるなんて光栄です！！！(；ω；) (2021年7月31日 16時) (レス) id: fe7138416d (このIDを非表示/違反報告)
アンズ(プロフ) - 夢文化が廃れてくなかでこんな神作に出会えるとは…… (2021年7月31日 8時) (レス) id: af5bfd0de9 (このIDを非表示/違反報告)
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