CHAPTER １ー２ ページ2
「Aちゃん……何としてでも、必ず俺達でマイキーくんを、皆を、助けよう」
私がタイムリープの件を知ったのは、つい先日、突如職場に乗り込んできた花垣さんと直人君が私に暴露してきたのがキッカケだった。私がタイムリープのことを知るよりも前から、花垣さんはタイムリープをしていたらしい。だけど今回のタイムリープで、自分一人で変えられる未来には限界があると悟った花垣さんは、私の力を貸してほしいと土下座で頼み込んできたのだ。
なぜ、万次郎達を助けるのが私に繋がるのかというと、私は高校一年から約8年間、無敵のマイキーこと佐野万次郎と交際をしていたから。
だけど約1年前の、私が24歳のとき。万次郎と連絡が一切取れなくなってしまった。何の予兆もなく、とある日の朝、日課のモーニングコールをしようと電話を掛けたが、その日から私の電話が彼に通じることは一度もなかった。8年という長い月日の交際を経た割に、別れはあっさりだった。
それがどうしようもなく悲しくて、彼の身に起きている事情を何も知らなかった私は、万次郎にフラれたのだと決めつけて、彼と過ごした日々の思い出となる物を全て捨てた。なんであの時もっと、必死に万次郎を追いかけなかったんだろう。私が泣きながら万次郎のマグカップやタオルケットなんかを捨てている時、万次郎は一人でもっともっと辛く苦しい思いをしていたというのに。
「はい。必ず」
だから私にできることはただ一つ。
花垣さんと過去に戻って、万次郎や東卍の未来を変えること。皆が笑って過ごせるのなら、どんなに痛い思いをしたとしても構わない。
万次郎のすっかり冷たくなってしまった体を、優しく地面に横たえる。そして顔から肩にかけての部分を、羽織っていた上着を掛けて覆い隠した。こんなにボロボロになってしまった万次郎の姿を、私はもう二度と見たくない。
＿＿だから、12年前の君を、助けに行くよ。
タイムリープのトリガーである直人君が私達に手を差し伸べてくる。私と花垣さんはお互いに片手を繋ぎ、余った方の手を直人君に向ける。まるで、一つの円のような形だ。
「行こう、Aちゃん」
「……はい。行きましょう、花垣さん」
目を見つめ合い、こくりと頷く。
……準備は整った。
私と花垣さんがそれぞれ直人君の手を握ったとき、視界が眩しい光によって白んでいき、そして、私の意識は無くなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1270人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらす(｡∀゜)(プロフ) - えっっっぐい程面白いです！！！てか最初の赤音さんの救出で既にどハマりしました！！！好きです！！！大好きです！！！多分これから1週間位ずっと読んで読んで読みまくると思います！！！えマジで神作すぎて！！！大好きです！！応援してます！！！！ (2021年8月26日 16時) (
レス) id: 0ada0a2373 (このIDを非表示/違反報告)
納豆巻き(プロフ) - まさん» 初めまして！！タイトルに関してはかなり悩んだのでそう言って貰えて光栄です！！！これからも応援よろしくお願いします！ (2021年8月21日 11時) (レス) id: fe7138416d (このIDを非表示/違反報告)
ま(プロフ) - 初めまして！コメント失礼します！秀逸なタイトル回収にゾクゾクした勢いでコメント書かせてもらっています！続きが楽しみです。応援しています。 (2021年8月16日 19時) (レス) id: 462628ff0d (このIDを非表示/違反報告)
納豆巻き(プロフ) - アンズさん» そのように言って頂けるなんて光栄です！！！(；ω；) (2021年7月31日 16時) (レス) id: fe7138416d (このIDを非表示/違反報告)
アンズ(プロフ) - 夢文化が廃れてくなかでこんな神作に出会えるとは…… (2021年7月31日 8時) (レス) id: af5bfd0de9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
