切なさを抱きしめて…[Yuta.K]② (ページ13)

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一瞬、驚いた表情をして固まっていた岸くんが

キョロキョロしながらこちらに向かってくる。

ねぇ、これは期待していいの…？

奈｢A、岸がこっち来てる！

チャンスだよ！｣

奈緒にそう言われて

自然と団扇を持つ手に力が入る。

そして、岸くんが私達の前で立ち止まった。

私が岸くんに向かってあの団扇を見せると

岸くんは｢ぷっ(笑)｣と笑って

あの日と同じように私を撃ってくれた。

ねぇ、岸くん。

やっぱり私は岸くんのことが大好きみたい。

ちょっとおバカな岸くんが、

誰にでも優しい岸くんが、

たまに意地悪してくる岸くんが、

みんなに愛されてる岸くんが、

好きで好きで仕方がないみたい。

岸くんの前で泣いちゃダメだと

必死で涙を堪えようとしているのに

次から次へと涙が溢れ出てくる。

そんな私を見て

｢泣きすぎだよ(笑)｣なんて岸くんが笑うから

溢れ出てくる涙をハンカチで拭いて

｢ごめんね、｣と言いながら笑ってみせると

岸くんは満足そうに頷いて

メインステージへと戻って行った。

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