43-2 開発めにゅー? ページ44
「重曹?ティーソーダにすんの?」
訝しげな顔をしたフロイドが重曹をひとつまみ、紅茶に入れた。
ジェイドが持っていたスプーンでフロイドのグラスの中身をかき混ぜる。
紅茶の色が変わったと同時に、フロイドの顔色も変わった。
「うぇぇ、緑になったぁ!?」
「ほう…どういう原理ですか?ジェイド」
興味津々のアズールがジェイドに問う。
彼も紅茶に重曹を入れて、色の変化を楽しんでいるようだ。
「マロウブルーには、アントシアニンという成分が含まれています。アントシアニンは酸性だと赤、アルカリ性だと青緑に色が変化するのです。普通は酸性のレモンを入れて赤くする方が多いようですが、今回はテーネのデザインに合わせてアルカリ性の重曹を使ってみました」
そう説明をしながら、ジェイドも自分の紅茶を青緑に変えた。
テーネは既に紅茶を飲んで美味しいと呟いている。
「でもぉ、なーんかつまんないよねぇ」
「つまらない、とは?」
「色が変わるのはいいけど、それだけじゃ人魚姫っぽくない…あっ、そーだ!」
突然立ち上がったテーネが、カウンターに置いてある小さな赤い花に向かってユニーク魔法をかけた。
花は花瓶を倒すことなく、テーネの手元におさまる。
「このお花を浮かべたら、それっぽくなるんじゃなあい?人魚姫って、赤い髪だったんでしょ〜?」
おお、と感嘆の声をあげた兄三人は、もっとエンターテインメント性を出そうと躍起になった。
花を使って紅茶の色を変えるとか、花も色を変えるとか、あれが良いこれが良いと案を出していく。
そんな彼らを見て、テーネはぽつりと呟いた。
「蕾」
「…なんて?」
「あのね、蕾をトンって叩くと花が開くの、綺麗じゃない?」
頭の中でテーネの言ったことを映像化する。
ほんの少し沈黙が流れた。
しかし次の瞬間、その沈黙はアズールによって破られる。
「それです!それでいきましょう!」
「うっわ、アズールうるせぇ」
「急に叫ばないでください。耳が痛くなります」
「じゃあ、どうやって蕾を叩くと開くようにするか、考えないとねぇ」
「ぎんなん草を煮て、
こうして、テーネプレゼンツ"Mermaid's Wish"がラウンジのメニューに加わったのであった。
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作者名:Rose | 作成日時:2020年4月23日 17時