36 昼食ほーるど? ページ33
「ちょっと前に見てから、ずっと持ってるんだゾ」
「そうだね、グリム。大切なものなんですか?」
ランチをしに食堂へ。
フロイドがあそこがいいと言って指さしたのはエースとデュース、そして小エビとその付属品がいるテーブルだった。
なんで小エビなんかと一緒にランチしなきゃいけないのか。
ボウルに入ったサラダのエビをフォークでざくりと刺して口に運ぶ。
小エビの質問には、そんな私をちらりと見たジェイドが答えた。
「このウルメイワシのぬいぐるみは僕が作りました。テーネは気に入ってくださったようで、いつも持って歩いています」
へぇ、と相槌を打った小エビが、私のうるめちゃんのことを覗き込む。
フォークを口にくわえたまま、うるめちゃんをぎゅうと抱きしめた。
「あえあいお」
「子ザメちゃん、何言ってんのかわかんねー」
「"あげないよ"では?」
フォークを皿の上に置いて正解、と言うと、アズールは当たり前だと言わんばかりにふん、と鼻を鳴らした。
「じゃあ、流石にもうジェイド先輩の匂い?はしないですね」
エースは私が過去に言ったことを覚えていたようで、笑いながら私と目を合わせてきた。
そういえば、とうるめちゃんを顔に近づける。
「うーん。わかんなぁい」
「わからない、ですか?」
デュースが首を傾げる。
ジェイドも首を少し傾けて、うるめちゃんに顔を近づけた。
体勢を戻して、にっこりと微笑む。
「匂いしたー?」
「ええ、テーネと同じ香りがします」
「テーネ先輩の香りって、どんな感じなんですか?」
小エビは質問するのが好きなのか。
会うと大体質問される。
今度はフロイドが答えた。
「花の匂いと、海の匂いと…あとなんだっけ」
そう言って、フロイドは私に顔を近づけた。
すんすんと鼻を鳴らして匂いを嗅いでいるようだ。
「あー、ジェイドとオレの香水、あとアズールのも。あとは、あまーい匂い」
「甘い?」
「フェロモンですね」
デュースが眉を顰めると、ジェイドがさらりと答えた。
驚いた顔の彼らと、パンをかじる三人。
アズールは多分、聞いていないふりだ。
面白いから、後でからかおう。
エビを刺し損ねた私は、諦めてレタスを口に入れた。
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作者名:Rose | 作成日時:2020年4月23日 17時