【HQ!!】マフィアを押し倒したら誘拐されました。

非日常9日目 ページ10

ミルクティー色の髪の毛を持つ青年の胸にダイブした私。



柔軟剤の良い匂いがするとか思ってしまったのは内緒だ。そんな事を口走ってしまったら『変態』と言う称号を手にすることになる。



誰が喜んでその称号を貰いたがるだろうか。

少なくとも私は絶対に欲しくない。


「あっ！夜久くんがナンパしてる！」

今度は灰色の髪の毛を持つ青年がいた。


ニコニコと嬉しそうに私達を眺める。


夜久くんと呼ばれたミルクティー色の人は顔を真っ赤に染め、両手で顔を隠したまま動かなくなってしまった。


こんなピュアな青年を今までに見たことがあるだろうか。


クラスメイトの男子とは比べものにならない。


「ちっ、違うからな！？此奴が怪我してるか見るために！！」

赤面で早口。説得力がなさ過ぎる！！

「え！？怪我した！？」

灰色さんは夜久くんの言葉を信じるように私を見た。


信じるんかーい。


「あ、いや、その…。」


夜久くんに言ったことをそのまま灰色さんにも伝えると彼は「氷ｯ！！」と叫んで飛び出していった。


母性本能が働いたのか。


お母さん…ｯ！！
と心の中で叫んでいると右手を再び引っ張られた。


夜久くん…、いや年上だからさんか。

夜久さんが復活して真剣な眼差しで赤くなった右手を見ていた。


「う〜ん…。腫れてるだけだな。」


骨折とかじゃなくて本当に良かったと彼は微笑む。

すると灰色さんも氷の入った袋を手に戻ってきた。


…まさか、私が扉を壊そうとしただけでここまでになるとは予想してなかった。

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