今宵、暁が焦がる頃に弐 (ページ7)

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阿部「何で入ってくるの」
佐久間「あべちゃん、辛そうな顔してる。ほらさくまさんの頭撫でていいよ？」
阿部「いらない」
佐久間「…どーしたの？」
阿部「…佐久間に関係ないじゃん」
苛々する。宮舘と渡辺の姿を見てしまったからか、それとも佐久間に対してか。

佐久間「あべちゃん、寂しいの？」
阿部「は？」
ぽてん、と阿部の前に座ってそんな事を尋ねてくる佐久間に随分と荒っぽくなった言葉を投げ捨てる。
佐久間「だってあべちゃん、さっき翔太と舘さん見てる時、しょんぼりしてたから」
阿部「してないよ」
佐久間「してたよ」
阿部「してない！」
大声にビクリ、と佐久間が肩を震わせる。

阿部「…出てってよ」
佐久間「やだ、今のあべちゃん1人に出来ない」
阿部「出てってってば」
佐久間「あべちゃんが落ち着いたら出ていく」
阿部「だったら尚更出て行って」
佐久間「今ぼくが出てったら、あべちゃ、どっかに消えちゃいそうなんだもん。ぼく、あべちゃんにまだ全然「幸せ」あげれてないし、そもそも今のあべちゃんほっとけない！」
阿部「うるさい！」

神経を逆撫でされるような感覚と共に、気付いたら机の上にあった空っぽの湯呑みを佐久間に向かって投げていた。
佐久間「いっ…」
佐久間の額に見事にぶつかったそれは真っ二つに割れ、畳の上に墜落する。
額を押さえる佐久間に一瞬罪悪感が沸き起こるも、それでも言葉は止まらなかった。

阿部「裕福な家に生まれてみんなに愛されてずっと幸せに暮らしてた佐久間が俺の事わかる訳ないじゃん！そんな押し売りいらない！」
佐久間「あべちゃ、」
阿部「出てって！早く出てけよ！」
佐久間「あべちゃんっ！落ち着いて！」
心配そうに駆け寄ってきた佐久間をありったけの力で突き飛ばす。
べち、と後ろから転ぶ佐久間の姿すらまともに見れなかった。