今宵、暁が焦がる頃に弐 (ページ33)

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佐久間の言葉が妙に眩しかった。
無駄に暖かくて、眩しくて、どこか懐かしいような感覚に襲われて、どう言葉を返したらいいかわからなくなって、
こちらを見ている佐久間の方に目線を移す事も出来なかった。

…あぁ、きっと懐かしいと思ってしまうこの感覚は。
阿部(…あの時の、あいつみたい)
ふと昨晩宮舘が言っていた言葉を思い出す。
自分自身を、救ってくれようとしている手の話。
あの少年の、懺悔の話。

確かに存在していた「救い」を捨ててしまった自分に、今こうやって手を差し伸べている佐久間があの時の少年と重なる。
顔も声も何もかもが違うのに、その眩しいくらいの光が目に染みて。
阿部(…このまま焼け死んでしまいそうだ)
…それでも、もう1度、またその手を見ないフリすると言うのか？
望まれるなら救われたい。それでももしまた、その救いの糸が切れてしまったら？

ふわり、と何かが頭を撫でた。
何かにふわりと包まれる感覚に、その「何か」に気付いたのは数秒後で。
阿部の事をぎゅ、と抱き締めた佐久間が、優しく阿部の頭を撫でていた。
いつも阿部が佐久間にやっているように、優しく優しく、撫でられて。
まるで、一生守ってあげるとでも言いたげに。

阿部「……ごめん」
佐久間「…いーよ。ぼくも、ごめんね」
やっと絞り出した声で謝ると、陽だまりに包まれるような声が返ってきた。
阿部はそのまま、彼の善意に甘えるように、その妙に眩しいくせに落ち着く不思議なぬくもりに浸るように頭を撫でてもらっていた。