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宮舘「今宵の月は綺麗かい？」
背後からかけられた声にビクッとなる。
後ろを向けば、宮舘が盆に乗せられた御飯を持って立っていた。
深澤「…綺麗」
宮舘「そう、それは良かった。ちょっとばかり失礼するよ」
自分の前に置かれた湯気のたかれた料理を目にして、そういえばどこにいても料理は美味しかったなぁなんて昔の事を思い出す。
宮舘「今日は食べれそうかな？」
深澤「…舘さんが、作ったの」
宮舘「ああ。これでも料理の腕には自信があるからね」
深澤「…」
1口、口に入れて、何だか懐かしい気分になる。
いつでも料理を作るのは宮舘なんだなぁ、なんて。
もう誰にもわからないのに。
宮舘「…何か、嫌な事を思い出させちゃったかねぇ？」
深澤「え…」
宮舘「酷く悲しそうな顔をしていたよ」
深澤「…懐かしい、想い出、だから」
宮舘「そう。悪い思い出ではなさそうだねぇ」
深澤「…うん」
真紅に輝く瞳がこちらを覗く。
頭に生えている狐の耳と少し横に視線を向けただけで目に入る9尾のふさふさとした狐の尻尾を除けば、昔、軍属だった時の彼そっくりだ。
深澤「…ご馳走様でした」
宮舘「お粗末様でした。…今夜も、眠れそうにはないのかい？」
深澤「…多分」
宮舘「そうかい。それなら暫し待ってよ。これを片したら私の尻尾を貸してやろう」
なかなか寝心地が良いと評判なんだぞ？と悪戯っぽく笑いながら、盆を下げに部屋を出た宮舘を見送って。
深澤「…寝れないのは、「代償」の所為なんだけどな」
説明しても理解されないだろうし、説明したくもないから、言わないけど。
前に残してきてしまった「彼等」を思い出しながら、はぁ、と息を吐く。
「契約」の証は海の底に沈んでしまったらしい。何もない右手の親指を見つめながら、紫煙の瞳はまた輝かしい月を映す。
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賭果(プロフ) - 初めまして、検索で見掛けてこの話のみ途中まで読んでいるのですが、ふっかさんがまさか…と思いました。その他のシリーズもぜひ、読んでいこうと思います (2020年6月14日 21時) (
レス) id: e86ba3e61e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - はじめまして。伍話の話がゆり組ー(≧∇≦)て感じがしてとても好きです。笑 これからも更新を楽しみにしています。 (2020年6月6日 20時) (レス) id: 2effd210bf (このIDを非表示/違反報告)
パスタ好きのさらさん(プロフ) - 新作おめでとうございます！全部面白くて読ませて頂いてます。今作は自担であるめめが最初の主人公っぽかったのでとても嬉しいです。これからも応援してます！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: b898e8ff1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年6月1日 17時
