捌:晴天、木漏レ日ノ随ニ ページ35
数日後、いつも以上に様子のおかしい千草にこれは声をかけていいのかどうかと窺っていると、その様子を見かねた宮舘が声をかけてくれた。
宮舘「阿部の事かい？」
目黒「あ、うん…」
宮舘「どうやら朝から人間の気配がするんだとさ」
目黒「人間の気配…？」
そんなの全く感じないのにな、とキョロキョロしていると、くすくす、と笑われた。
宮舘「阿部が人間嫌いなのはもう知っているだろう？」
目黒「うん」
宮舘「だから余計敏感なんだろうねぇ、この神社に人間が来そうだって事も感じ取ってしまうらしい」
目黒「ここに人間が来る…？それ、追い払わなくていいの…？」
宮舘「大丈夫さ、きっと薬屋だろうから」
目黒「薬屋？」
そういえばここに来たばかりの時にそんな単語を聞いた気がする。
宮舘「まぁ万一、良くわからない人間が来た時は佐久間が追い払ってくれるだろうしねぇ」
目黒「佐久間くんが？」
宮舘「阿部の事が大好きだからねぇ、阿部が嫌なものは全力で追い出すだろうよ」
背後では佐久間が「大丈夫だよあべちゃん！きっとのえるだよ！」ときゃんきゃん宥めている声が聞こえる。
聞きなれない単語は恐らく「薬屋」の名前なのだろう。
目黒「…その薬屋さんって？」
宮舘「いい子だよ。いつも子狐2匹携えてくるのさ。妖に偏見もない博愛主義みたいな子だねぇ」
目黒「子狐」
宮舘「あぁ、そうだ。あの子たちの為にまたお稲荷を作らないといけないねぇ、目黒も作るかい？」
何だか少し面白そうでこくり、と頷くとこちらにおいで、と厨房に手招きされた。
何気に調理の為に厨房に入るのは初めてだなぁ、なんて思いながら稲荷作りを手伝っていると外が騒がしくなった。
宮舘「おや、もう来てしまったのかい。少しゆっくりしすぎてしまったねぇ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1607人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
賭果(プロフ) - 初めまして、検索で見掛けてこの話のみ途中まで読んでいるのですが、ふっかさんがまさか…と思いました。その他のシリーズもぜひ、読んでいこうと思います (2020年6月14日 21時) (
レス) id: e86ba3e61e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - はじめまして。伍話の話がゆり組ー(≧∇≦)て感じがしてとても好きです。笑 これからも更新を楽しみにしています。 (2020年6月6日 20時) (レス) id: 2effd210bf (このIDを非表示/違反報告)
パスタ好きのさらさん(プロフ) - 新作おめでとうございます！全部面白くて読ませて頂いてます。今作は自担であるめめが最初の主人公っぽかったのでとても嬉しいです。これからも応援してます！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: b898e8ff1d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：湊都 | 作成日時：2020年6月1日 17時
