高卒男、恋をする【紫】 (ページ29)

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＃29 別れページ29

深「腰、大丈夫？」

「...痛い」

深「そーだよな、痛いよな」

「...でも、それ以上に、幸せ」

深「...ん、俺も」

でも、さっきまでのことを思い出したら、顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。

自分に自信がある訳じゃないし、痩せてる訳でもない。

こんな私でもよかったのかな、なんて思ってたら、余計なことは考えんな、って。

辰哉さんは、いつでも私が欲しい言葉をくれる

「...っ」

深「ん...？どした？」

「今、幸せすぎて怖いな、って...」

深「俺といたらいつでも幸せでしょ？」

「...そうなんだけど、」

あの幼馴染のことが、頭から離れない

また何か言い出すんじゃないかって、そう思えてきて。

深「俺がいるから大丈夫だって、ね？」

「...うん、そうだよね」

でも、私の嫌な予感は的中することになる。

.

.

辰哉さんと結ばれて数日、幸せで絶好調な私

友達に何か嬉しいことあった？と聞かれるくらい、私は浮かれて見えるらしい。

そんなある日、家に帰るとウキウキしている母がいた。

「どうしたの？何かあった？」

母「あ、おかえりなさい
ママ友に高級ホテルでのお食事に誘われてね、それがAも来てほしいって」

「私？家でいいよ、高級ホテルなんて私には似合わないし」

母「一回だけ、それならいいでしょ？」

「...一回だけだよ？
っていうかそれって何回もあるものなの？」

母「それは分かんないのよね
ま、お食事行くってことだけは覚えておいてね」

「はーい」

なんで、母との会話に違和感を覚えなかったんだろう。

この時ちゃんと話を聞いていたら...なんて思う。

.

.

「お母さん、私には彼氏がいるって...！」

高級ホテルでの食事は、幼馴染との婚約についてだった。

そして、私の知らないところで話が進んでいたらしい

母「しばらくいないって言ってたじゃない
だから婚約することにしたのよ
その上、翔太くんは幼馴染だから知らない人よりいいでしょ？」

翔太くん、というのは例の幼馴染のことだ

婚約なんて何十年前の話...

私の親が古い思想を持っているだけなのか、早く結婚させたかったのか知らないけど。

辰哉さんがいるって何回も言ったのに、聞いてなかったのか。