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「…それで？話って？」
パイプ椅子にドサリと座った彼からは、疲労感が漂う。
疲れている樹君はセクシーに磨きがかかると思う。
いくら疲れていても、仕事は手を抜かない人だから、こういう姿が見られるのはメンバーの特権。
…大人な雰囲気を醸し出す彼は、とても新人アイドルには見えない。
「樹君、俺、お願いがあって。」
「うん…？言ってみ？」
ほら、とばかりに俺の言葉を待つ樹くんは、余裕たっぷりにニヤリと笑う。
ようやく訪れた時間に、俺の心はソワソワ落ち着かない。
「…俺、じゅり君にずっと気にして貰ってきて。
ジュニアの頃、いつでも公平でフラットだったじゅり君に沢山助けられたし。
仕事がない時も、お前はサッカーしろよって言ってくれたの、すごく救われた。」
樹君は、俯いたまま、時折相槌を打ちながら黙って聞いてくれている。
…せめて格好良くお願いしようって色々考えてきた言葉は、高まる緊張と高鳴る心臓の音のせいで何処かへいってしまった。
「本当はこんな形じゃなくて、みんなに認めてもらってから、じゅりって呼ばせてもらえたらって思ってたんだけど…。」
シン……
樹君の顔があがる
バチッ
俺と目があった。
「中島くんが、テレビ番組の中「やだ。」」
………！！！
きっぱりと跳ね除けられた言葉。
言葉が出てこない。
今度は俺が俯く番だった。
「中島から聞いたよ、俺とAか名前で呼び合ってるって言ったんだろ？」
ピリ…とする雰囲気に、恐る恐る樹君の顔に焦点を合わせると、
そこには
”嬉しそうな樹君がいた。”
……え？
口元がうずうず動いている。
んふふふ、とでも聞こえてきそうだ。
青いハートはぎゅうぎゅうと俺の頬に凸っている。
何、やめて。
ぎゅうぎゅうすんな。
…え、じゅり君、セリフと表情がケンカしてるよ？
………？？
断るにしては甘すぎる
なんだこの雰囲気は。
面食らった顔の俺に向かって、樹君が続ける
「お前の中で決めたタイミングがあんだろ？」
…じゃあ、その時まで待ってるわ。
口角を片方上げて笑うと
にょきりと長い腕が伸びてきた。
「じゅりくん…？」
「……。
疲れた、抱えてって。」車まで。
桃色の頬を隠すように、横顔のまま。
「あ、うん。」
よっ
樹君を横抱きにすると、ぎゅうっと肩にしがみついてきた。
「名前で呼ぶ時は、6人一緒にな？」
楽しみにしてるわ。
くふっ
首元で笑う声に、力が抜けた
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venjamin(プロフ) - はむはむさん» はむはむさん、コメントありがとうございます。ありがとうございます、恐縮です…！遅筆ですが、また覗きに来て下さい (2023年1月7日 18時) (
レス) id: d12149b604 (このIDを非表示/違反報告)
はむはむ(プロフ) - こんにちは、はむはむです。めちゃくちゃ面白くて一気に読んでしまいました！更新頑張ってください(^^) (2022年8月9日 21時) (レス) id: 2b371b2a8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：venjamin | 作成日時：2022年2月5日 16時
