記憶違い(シオフキーside) ページ35
「……それは、よかったな……」
私はドリスの頭を撫でる
思えば、いつからこの幸せを忘れていたのだろう
復讐にかられて、人間を憎んで
それしか考えられなくなっていた
片目の火傷が疼く度にむしゃくしゃして
心穏やかになる時などほとんどなかった
例え笑うことがあっても、どこかに人間への恨みが渦巻いていた
だが今はどうだ
復讐をやめて
うまいものを食べて
遊んで
笑って……
そんな単純な事なのに、幸せでたまらない
昔も、こんな感じだったな……
「なぁ、覚えてるか?昔海で砂だるま作ったこと。」
「ええ!私のわがままを兄さんが仕方なくとはいえ叶えてくれたわ!とても嬉しかった!」
「ははは!そうだったな。あれを作るのには四苦八苦した。」
「ならこんなの覚えてる?どっちが高く潮吹きできるか競ってたらおっきな鯨に乗り上げて、そのまま強烈な潮吹き食らって高く上がったこと!」
「そんな事もあったなぁ?お前の顔が見ものだった。」
「兄さんの悲鳴も女の子みたいだったわよ?」
「う……それは言わないでくれ恥ずかしい……」
「あははは!あとはシャチに追いかけ回されてぇ……」
「あぁ……今ならボコボコにしてやれるのに……忌々しいギャング共め!」
「そうね!今の兄さんならいちころよ!」
「そうだな?無様な悲鳴をあげさせてやろう。ぐぎゃー!ってな!」
「「……ぷっ!あははは!」」
私達は一頻りに笑った
はぁ……普段のカッコつけの笑い方より笑いやすい……
「はぁ……幸せだなぁ……」
「そうねぇ……」
「なぁ、また昔みたいに一緒に実験しないか?ドリスも発明の実技とかは好きだろう?」
「え?」
「え?」
急にドリスはきょとんとした表情を浮かべた
「ど、どうした?」
「何言ってるのよ兄さん!私は発明なんか嫌いよ。兄さんそっちに集中して全然構ってくれないんだもの!それよりも鬼ごっこしましょう!兄さんが鬼で私が逃げるの!兄さんも好きでしょう?」
「え、私は鬼ごっこは苦手だったぞ?泳ぐのも好きだったが遅かったし……」
「え?」
「え?」
(どう言うことだ……?)
ドリスと私の記憶が相違している?
何故……
記憶違いにしては事象があまりにも違いすぎる……!
「おかしい……ドリス、他にも印象に残っている記憶を照らし合わせよう。」
「え、ええ……」
こうして私達はそれぞれの思い出を照らし合わせた
が、そこから出てくる物の多くが相違していた
「過去の私はシャチなど倒せなかった……」
「私も船になんか近づかないわ……兄さんが危険だといってたし……」
一体どうなってる?
5人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
闇鍋ソース(プロフ) - ぱいんさん» まじすか、よろしくお願いします (2020年4月30日 16時) (レス) id: e014917a59 (このIDを非表示/違反報告)
ぱいん - 初コメ失礼致します。更新嬉しいです、ありがとうございます!これからも応援しております! (2020年4月30日 2時) (レス) id: ab6cbeeec6 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - はやみんさん» それはよかったです( ´∀`) (2020年4月15日 1時) (レス) id: e014917a59 (このIDを非表示/違反報告)
はやみん - ついにシオフキー結ばれた!よかったです!闇鍋ソースさんの小説やっぱ大好きです! (2020年4月15日 1時) (レス) id: 60d6cec3ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ