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幻聴 ページ44

全て…知られてしまった

知った瞬間のコワさんの顔が頭から離れない
ひどく驚いていた
今頃はフレイアが私の体を使ってるんだろうか…
それが証拠に謎の闇空間には私だけがポツリとたたずんでいる
その闇はどうしてか今の私の感情を表しているかのような気がした

いや、それよりも
知られたということは私が人間であることもキーパー教授の婚約者であることも
彼は知ってしまっているんだ

だとしたらもうあの場所にはいられない
きっと彼は優しいから追い出すなんてことはしないだろう
でもきっと

前のような関係には戻れない

そう思うと自然と涙が頬をつたった
本当は離れたくなんてない
でも迷惑はかけたくないから
私は甘えることなんて許されない教授のペットだから…

不思議とキーパー教授との思い出がよみがえってくる
何故だろう
思い出したくないのにどんどんあふれ出てくる
嫌なことばかりなのに
幸せだった時の記憶も同時に押し寄せる

あの頃の彼は優しかった
いつも偽りのない優し気な笑みを浮かべて
私のことを愛してくれた
いろんなことをした

走ったり

ちょっとした勉強をしたり

泳いだり

私はおっちょこちょいだったからよくへまをしたけど
彼はいつも優しかったし励ましてくれた

でも今は…

その時誰かが私の名前を呼んだ

ーサインー

ーどうしたんだ?ー

ー早くこっちへ…ー

自然と、頭に響くキーパー教授の声は
あの時のように優しく
幻聴だと
今の彼はそんなこと決して言わないと
そう思っても
その言葉の一つ一つが
私の正常な判断を狂わせていく

(そうだ戻らないと…彼は確か私を…必要として…)

まるで何かにとり憑かれたかのように
私はどこかに向かって歩き出す
気づけばそこは部屋の中で
机の上には誰かが書き記したメモと白いリストバンドがおかれていた

『これを使えば人になれる。上手く使え。 byフレイア』

(これを使えば人に…)

ーサインー

ー戻っておいで−

気づけば私はリストバンドを手にしていた
煙があたりを包み私は元の人に戻った

(これで…彼のもとに…)

ふらふらと
夢遊病者のように
おぼつかない足取りで
私は気づかれないように一度ペンギンに戻って通気口の穴から基地を抜け出した

頭の中にはキーパー教授の優し気な声が響き
スライドショーを見ているかのように幸せなあの時が鮮明に目に映った

「今…戻ります…キーパー教授…」

自分に聞こえるぐらいの小さな声で私は弱弱しくそうつぶやいた

彼女の痕跡(コワルスキーside)→←訳(コワルスキーside)



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設定タグ:ペンギンズ , コワルスキー , シオフキー   
作品ジャンル:恋愛
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闇鍋ソース - コメありがとうございます!そう言って頂けて本当に嬉しいです!とても元気がでます!これからもっと面白くなっていくので楽しみにしていてください! (2018年4月9日 7時) (レス) id: 00ec63ee18 (このIDを非表示/違反報告)
あやまる〇(プロフ) - こんばんは!初めまして、あやまると言います!最近読み始めたのですがとても面白くて作品更新がとても楽しみです^^*投稿主様のペースで構いませんので、これからも頑張って下さいね!陰ながら応援してます! (2018年4月8日 20時) (レス) id: 230c938807 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:闇鍋ソース | 作者ホームページ:http//  
作成日時:2018年2月13日 19時

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