【チョロ松】もう何も要らないよ【おそ松さん】

じゅうなな ページ18

目が覚めてから皆が、僕を一人にしない様に努めている。



ずっと一緒にいる。

なのに誰も、帰って来ないおそ松兄さんについて何も言わない。





何も言えない。




「チョロ松いる？ちょっとおいで」


台所の方から母さんの声がした。


気怠いのを気付かれないように笑顔を作る。



『はーい！』






居間にいた四人が化け物でも見るような目で、僕を。




大丈夫。


強ち間違ってないよ。





「お昼、何食べたい？暫くは皆で食べられないわよ？」




『ん……、何でもいいよ』





答えなど最初からどうでも良かった。


でも、興味のない素振りは見せないようにした。




「…本当に大丈夫？」



僕って、親不孝というやつなんだろうか。





『勿論だよ。期待していてよ』





それだけ言って居間へ戻る。




いつもの場所に腰を下ろし、求人雑誌を目で探しかけて苦笑する。


今夜にはもう、僕はここには居ないのだ。




無理矢理に作った、偽物の寂しさが胸を覆う。






不意に、兄弟に悪戯をしたくなった。


最高の恐怖を煽る一言を。







『おそ松兄さん、遅いね……』




身体を強張らせる兄弟達に、微笑んでみせた。

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