貴方色丿琥珀糖。 (ページ21)

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赫色ページ21

×22歳九条ジョー

×20歳夢主
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You side

「…あ、Aさん」

『はーい』

バイト先の先輩の小川さん。

3ヶ月前からココで働き始めて、だいぶ仕事に

慣れ始めた最近、彼が芸人であることを知った。

時々急に居なくなってて、店長は何故

何も言わないのかと思っていたけど。

オーディションとか、出番の関係みたい。

少し根暗な雰囲気だけど、優しく教えてくれるし

普通に良い人なんだと思う。

「あのー…、お笑い好きって言うてたよな?」

『はい、時々劇場行くぐらいですけど』

「良かったらなんやけど、コレあげるから

予定無ければ見に来てくれへん?」

『…え、チケット?ですか?』

「枚数稼がなあかんくて…タダで良いから!!」

『えーっと…この日は予定無いですけど、

ほんまに貰って良いんですか?』

「え、イケる?!良かったぁ〜…

宣伝はしてるけど、なかなか売れなくて」

『友達にも聞いてみますね、』

「えっ!嬉しい、ありがとう!!」

『小川さんもネタしはるんですか?』

「そうそう、今回は吉本の劇場ちゃうねんけど」

「他にも若手いっぱい出るし、まあ楽しめると思うで」

『え〜…嬉しい、ありがとうございます!』

ある日、小川さんにインディーズライブの

チケットを貰った。

こういうライブは、お客さんが1人単位で

本当に大切になってくるらしい。

折角渡してくれはったんやから、絶対見に行こう。

さっきまで小川さんが持っていた

少しシワの付いたチケットをぼんやり眺める。

やっぱり、小川さんが芸人として

舞台に立ってるとこが想像できひん。

お客さんの前の彼は、どんな表情を見せるんだろう。