本当の恋に落ちた日【川村壱馬】 (ページ33)

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―怪我は救済― ページ33

Aside

『…バカ』

　私は川村くんの体を強く叩いた。

壱馬「いった…！お前」

『ご、ごめん』

　川村くんが怪我をしているのを忘れていた。

　でも、あんなにストレート“守りたかった”なんて言われたら、勘違いしちゃうじゃん。

壱馬「なんとでも言えよ」

『ありがとう…助けてくれて』

壱馬「・・・柄に合わねぇよな。俺が人助けだぜ。ほんと、お前といると調子狂うわ」

『え…』

壱馬「お前に会った時から自分でもわかんないくらい、頭に残るのはお前で。北人たちからお前の話聞いて、俺がしようとしてたことに後悔した。お前がそんなに苦しんでるなんて気づけなかった」

『そんなこと…』

壱馬「A、俺お前が好きだわ。好きすぎてどうにかなっちゃいそうなくらいに…」

　え・・・今なんて言ったの？

　好き、好きって言った。

　川村くんがこんな私なんかに・・・

『ほんとに…？』

壱馬「これは嘘でも遊びでもない。俺の本心だ。初めて会った時から好きだ」

『なんで今そんなこと言うの…』

壱馬「ごめん。でも、これだけは伝えたかったから」

『あきらめようとしたのに…どうしてかあなたの前だと今までの自分が自分じゃなくなるの。それが嫌で嫌で、頑張ってあきらめようとしたのに…』

壱馬「俺の前では、本当のお前を見せてくれよ。どんなAでも受け止めてやるから」

『ほんとにバカすぎるよ』

壱馬「俺といると、またあの時みたいなことに巻き込まれるかもしれないけど…」

『その時は、川村くんが守ってくれるんでしょ…？』

壱馬「あたりめぇだろ」

　私は今まで誰かに守ってもらう事なんてなかった。

　人なんて簡単に信じちゃいけない、世の中の人間大半が力で相手を威嚇する者ばかりだと思っていな。

　でも、あなたは違った。川村くんに出会えてよかった。