4話 連鎖反応 ページ4
〃
「おーい、すぎるくん？」
「ワッ！？！！」
唐突に視界にAちゃんの顔が映り込んできたことに動揺して、大声を上げて飛び退いてしまった。
咄嗟に飛び出た叫び声に連鎖するように、蘭たんとはっちが体をビクッと震わせて、しゅーさんが「どうしたんすか」と若干引いたような顔でこちらを見ている。いやなんでお前が引いてんねん。
そして一番至近距離で俺の大声を聞いたAちゃんはというと、何も言わないままぽかんとして俺を凝視していた。
「な、なんなん急に……」
「ちょっとすぎるさん、急に大声出すのマジでやめて」
「すごい見られてるんですけど……」
「ご、ごめんて。いや急にAちゃんから声かけられたのにビビってもうて……」
三人から総バッシングを食らってしまい慌てて謝る。
「ご、ごめん。ずっと黙ってるからどうしたのかなって声かけたんだけど……」
「あーっ、いや違うねん！Aちゃんが悪いわけじゃないねんで！うん！俺が勝手にビビっただけやから、Aちゃんなんも悪くない！」
必死にフォローする俺を見て蘭たんは「焦りすぎ」と呆れたように笑った。
しゃーないやろ！Aちゃんのせいじゃないのは事実なんやからさぁ！
「ほんまごめん、びっくりさせたよな。急に大声出して……」
Aちゃん──あと一応他の三人も含めて──にもう一度謝ると、彼女は「あ、ううん！大丈夫！」と首を横に振って笑った。
「すぎるくんの声が大きいのは中学の時から知ってるし、もう慣れた！」
「そ、そっか……」
それは褒められていると受け取っていいのだろうかと思ったが、Aちゃんの無邪気な笑顔を見ていたら「まあ別にいいか」と思えてしまった。
その瞬間、教室の前のドアが開いて先生が入ってくる。去年も俺らの学年を担当していて、別クラスの担任をしていた先生だ。
「ほら、お前ら早く席付けー」
その声で俺たちだけじゃなく、教室のあちこちで集まって話していたみんなが一瞬にして散り散りになっていく。俺も大人しく席に着いた。
蘭たんとAちゃんはここに来てから一直線で俺たちの方に来ていたので自分の席を確認できていなかったのだろう。
二人だけみんなよりも少しだけ遅れて席に着いていた。
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