鏡の呼吸 捌ノ型 ページ26
これは、逢紅の声か…?
いや、違う。
これは、逢紅ではなく、『墨』の声だ。
墨サイド
「うっ…!」
無惨に叩き上げられ、遠くの方へ飛ばされた。
なんとか飛行距離を短くしようと空気抵抗を増やす。
「貴様っ…!」
着地に成功し、痛みが増す体に鞭打ち、走った。
血走った二つの目が此方へ向く。
手を伸ばしたところを、懸命に止めた。
「鬼舞辻無惨」
「嫌いじゃなかったよ」
そこで、ぴたりと手が止まる。
「こんな私にも優しくしてくれて、」
眼と眼が合う。
「私、嬉しかった。好きだったよ、」
気がつくと、涙が溢れていた。
「清太郎さんっ…!」
駄目だ。
感情が働く前に、少しでも。
鏡の呼吸_______
______水月鏡花!
あれ、何だろう、これ。
こんな呼吸、俺、知らない。
鏡の呼吸のもの?コピーじゃない?
この呼吸のおかげで無惨の攻撃からは逃れることが出来た。
瞬間、炭治郎が刀を構える。
そこで、私の意識は途切れた。
最後に見たのは、清太郎さんの真っ直ぐな瞳だった。
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作者名:零堂June | 作成日時:2020年9月2日 12時