人間が捌匹。 ページ17
「上弦の壱のところへ、行って来る」
君は明け方、そういった。
「…へ?」
上弦の壱。無惨の次に強い、ということだ。
それってさ、つまり、
「黒死牟?」
こくり、と頷く無一郎を確認すると、言いようのない吐き気みたいなものが体中を襲った。
「私、行きたい」
丈夫そうな木に体を預け、天を仰ぐ。
「でも、行ったら、殺される」
ふーっと、細く長い息を吐く。
戦う?
戦わない?
「…たた、かう。」
目を見開く無一郎を横目に、お館様の元へ走り出した。
「お館様、失礼致します」
「墨か、どうしたのかい?」
うぅっ…1/fのゆらぎ…落ち着く…
「私も、黒死牟と戦いたいのです」
妙に真剣な声になる。
「何故?」
笑みを含むお館様の声に、必死で返した。
「私は黒死牟に強い恨みがあります。もし私が戦場へ行ったら、必ず柱稽古で身につけたことを活かし、倒してみせます。そこで生きていたら鬼舞辻無惨のところへ行きます。でも、こればかりは私は相討ちでも構わないと考えています。鏡の呼吸を最大限に使い、精進しようと思っております。」
熱のこもった二つの視線が、絡み合った。
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作者名:零堂June | 作成日時:2020年9月2日 12時