鬼が弐匹。 ページ2
童磨がせせら笑う。
「まぁ、いいや。どうするのかな、坊や?」
美少年は舌打ちをした。
猟奇的な、でも色気のある表情で、思わずしのぶは目を奪われる。
「弱いお嬢さんを抱きしめたままで、俺に勝てるかなぁ?」
「素直に破滅しろ、気味悪いから本気で」
「あっはは、酷いなぁ。どうせ君も、胸の中の彼女も俺の中に取り込まれるんだぜ?
ほら、さっさと来ればいいのに!共に永遠の時を生きよう!全部全部無駄だというのにやり抜く愚かさ、これが人間の儚さ、人間の美しさなんだよ!ああ、何と素晴らしい!」
「師範っ!?」
(カナヲ…?)
その時走ってきたのは、そう、栗花落カナヲ。
「鬼殺隊のお仲間さん?この人に任せよっか」
美少年は抱きかかえたしのぶをその人に渡す。
「えっと、ありがとう…師範、大丈夫ですか!?この人、鬼殺隊じゃないですよね」
息も絶え絶えなしのぶは、カナヲに指文字をした。
「あの、貴方は…」
「後でね、ちゃんと自己紹介するから、まずはこの不届き者の成敗からな?」
片目を瞑る美少年に、カナヲはちょっと赤くなる。
「感動の出会いだね!さあさ、一緒にこっちにおいで!」
少年は眉根を寄せ、小さく呟く。
ああ゛ん゛!?地獄に突き落としてやるわクズがあ゛あ゛!!、と。
「まぁまぁ、どうせそのさっき抱えてた子も瀕死なんだろ?俺に食わせておくれよ!
そうすれば人助けならぬ鬼助けになるぜ?さぁ!」
そういっていつの間にか移動し、しのぶをひょいっとすくってしまった。
「師範っ!?」
「_____は?」
「地獄に、堕ちろ」
ゴキュッ
青くなるカナヲ。
「師範っ______!」
その言葉すら、届かなかった。
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:零堂June | 作成日時:2020年9月2日 12時